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July 1272011

 ボート漕ぐ翼のごとく腕を張り

                           松永浮堂

を張り、肩甲骨を引き寄せるボートを漕ぐ動作と、鳥の羽ばたきの動きは確かに酷似している。ことにレガッタなど数人が連なるボート競技を見ていると、腕とオールが翼と化して、水面を羽ばたいているように見えてくる。長い翼の中心に据えられた背中が、ことに鳥のそれを思わせるのだ。以前、デイヴィッド・アーモンドの『肩甲骨は翼のなごり』という書籍をジャケ買い(カバーの印象が気に入って買ってしまうこと)したことがある。残念ながら内容は生物図鑑とはまるきり関係なく、感動的な小説だったが、なにより翼のなごりが自分の身体にもあるのだということが、心を広々と解放させてくれた。とはいえ、体重10kgほどの大白鳥でさえ、両翼を開いた状態で2mを越える。人間が飛べる翼とはどれほどのものだろうと調べてみると、なんと片翼だけで17mが必要になるという。邪魔か。『遊水』(2011)所収。(土肥あき子)




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