中野サンプラザのツリー。新味はないがオーソドックスな豪華版。(哲




2011ソスN11ソスソス27ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

November 27112011

 店の灯の明るさに買ふ風邪薬

                           日野草城

くなってきたなと思い始めるころには、間違いなく風邪をひく人が出てきます。「風邪をひかないように気をつけて」という挨拶が、自然と口に出てくるようになってきます。今日の句、風邪薬を買っているのは風邪をひき始めた当の本人なのでしょう。勤め人には、どうしても会社を休めない日があって(というか、たいていの日はそうなのですが)、風邪は仕事の大敵です。洟水を気にしながらなんて、とてもじゃないけど集中して仕事ができません。「灯の明るさ」は、風邪の症状のうっとうしさから確かに守ってくれる安心感を表しています。あたたかなオレンジ色に輝く店の灯に包まれて、まずは気分だけでも多少は持ち直したいものです。『日本大歳時記 冬』(1971・講談社) 所載。(松下育男)


November 26112011

 光る虫あつめて光り花八つ手

                           小島 健

所の緑道にある八つ手の木の前を昨日も通った。それは民家の裏庭の端に植えられていて、宇宙ステーションのような不思議な花の形が緑道にはみ出しており、本当にたくさんの虫が寄ってきている。この時期花が少ないからだと歳時記にあるが、それにしても虫がこんなに好くのだから、よほど蜜がおいしいのだろうかと調べると、小さいながら五弁の白い花の中心の蜜が光って虫を集めるのだという。そして、虻や蜂など黒光りするものが寒い中でも体温が下がらず元気なのでよく飛んでくる、とある。掲出句、花八つ手の白さと、そこに来ている虫が纏う日差し、という二つの光が淡い冬日をじんわりと感じさせ、ほのぬくい余韻が心地よい一句と思う。『小島健句集』(2011)所収。(今井肖子)


November 25112011

 板橋の日向に落葉籠を置く

                           島田刀根夫

橋の日向。板橋は東京都板橋区の板橋か。だとすると作者はこの地名にどういう思いを凝らしたのか。板橋が板の橋である可能性もある。波多野爽波門という視角的な描写を重視する作り方を考えればこちらの方が作者の意図かもしれない。板の橋は板橋というふうに言えるのか。竹の橋は竹橋。土の橋は土橋。石の橋は石橋か。しばらく二つのヨミを巡らせた上で後者に軍配が傾く。この行司サバキ自体が僕の嗜好を反映している。その地の風土的実体が希薄なのに言葉の効果だけを狙って地名を用いた句を僕は好まないのだ。小さな幅の流れに板の橋が渡してある。そんな短い橋にも日向と日陰があり、その日向の部分に落葉籠が置かれている。細部に目を凝らしたしずかな風景だ。アメリカの画家アンドリュー・ワイエスの絵のように。『青春』(2007)所収。(今井 聖)




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