何もしないと決めていても何かをしたくなる性分。それも今日迄。(哲




2012ソスN1ソスソス3ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

January 0312012

 どの星も棘あるごとし寒波来る

                           岡崎 伸

さが厳しければ厳しいほど、夜空は引き締まり、月や星は輝きを増す。とはいえ、同じ天体でも絵に描く場合には、太陽には本体の円形を囲む線によって温みや光彩を表し、月は本体のみが描かれる。そして、星だけに輝きの尖りが付く。パソコンで「星」と打って変換される「☆」にも5方向に輝きが放射される。星は輝くものの代名詞として使われ、その輝きはまたたいて見えることからより強調されるのだろう。科学的に説明すれば、星のまたたきは大気の揺らぎによるものだというが、大小の星が点滅しながら灯る夜空はいかにも美しい。掲句は寒波を背負っている夜空であり、より透徹な空気を感じさせる。輝きを棘と表現することによって、星に美しさだけではなく過酷な冬季であることも言外に含む鋭利な表情も刻まれた。〈遠眼鏡百ほどそらふ初鴨に〉〈猫すこし横へずらして日向ぼこ〉『遠眼鏡』(2011)所収。(土肥あき子)


January 0212012

 読初は久方ぶりのトルストイ

                           向井ゆたか

いころに読んだ本を再読したいと思うときがある。私の例で言えば、トルストイの『戦争と平和』だとかマンの『魔の山』などがそれだ。しかしただ思うだけで、いつか読もうと先延ばしにしているうちに、初読の時からずるずると半世紀もの時間が流れてしまった。反省してみると、なかなか再読できない本は、たいていがもはやクラシック本となった書物だ。読み返したいとは思っても、それらは現在ただいまの時代的呼吸をしていないために、すぐに作品世界に入っていくことが難しいのである。だから、ついつい先延ばしにしてしまいがちになる。そこへいくと句の作者は、うまいタイミングを見つけたものだと思う。なるほど、正月の時間の流れは普段に比べれば、ずっと非日常的だろう。そしてそんな流れのなかに、ねらいすましたような、トルストイを読む時間を挿し込んだのだった。正月ならではの句であり、「読初」の季語もよく効いている。『円虹例句集』(2008)所載。(清水哲男)


January 0112012

 元日の玄関にある笑ひ声

                           塩尻青笳

が明けました。昨年は特別な年でした。日本の歴史の中で、大きな意味をもった年でありました。それでも年は明けました。2012年、もう特別でなくてもいい。当たり前の時間が流れて、当たり前に水道からきれいな水が出て、当たり前に家族と夕飯を食べられる年であってほしいと、願わずにはいられません。本日の句、読んでいるだけでホッとした気持ちになります。玄関にある笑い声。年始の挨拶に来た友人や親せきとの笑い声でしょうか。軽い冗談でも言いあっているのでしょうか。気の置けない間柄なのでしょう。お互いに幸せな一年でありますようにと、笑い声の間には、深い思いが包み込まれているのです。『日本大歳時記 新年』(講談社・1981)所載。(松下育男)




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