あまり体調のよくない三が日だった。そのうちに元気になるさ。(哲




2012ソスN1ソスソス4ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

January 0412012

 らちもなき御用始めの訓辞かな

                           内藤さち子

公庁や民間企業の多くは、きょう4日が御用始めである。つい先日、あわただしく御用納めをしてゆっくり新年を迎えたと思ったら、アッという間の御用始め。「良いお年を」という挨拶が、掌を返したように「本年もよろしく」に転換する。否も応もない一年の仕事のスタートである。身を引き締めて社長や上司の訓辞を聞く。いつの時代、どこでも、およそ訓辞というものには「厳しい」という言葉がつらなる。さしずめ今年の訓辞(あるいは年頭の挨拶)は、東日本大震災のことを避けることはできまい。大震災をここで、「らちもなき」と決めつけるわけではないけれど、およそ「御用始めの訓辞」といったものは、形式ばった「らちもなき」内容だったりする。いや、むしろ「らちもなき」訓辞がならべられている時のほうが、むしろ泰平の世のなかなのだ、と言えるかも知れない。そのへんに思わぬ落し穴があったりする。実際の仕事は明日からで、この日は訓辞を受けたり、挨拶回りをしたりで、中途半端な一杯機嫌のうちに一日が終わる、というのが元サラリーマンだった小生の正直な思い出。年々歳々、仕事が始まったら松の内もお正月気分もへったくれもない。ちょうど一年前の4日に、小生は親しかった知人の葬儀に参列して、2011年が始まったのだった。平井照敏編『新歳時記』新年(1996)所収。(八木忠栄)


January 0312012

 どの星も棘あるごとし寒波来る

                           岡崎 伸

さが厳しければ厳しいほど、夜空は引き締まり、月や星は輝きを増す。とはいえ、同じ天体でも絵に描く場合には、太陽には本体の円形を囲む線によって温みや光彩を表し、月は本体のみが描かれる。そして、星だけに輝きの尖りが付く。パソコンで「星」と打って変換される「☆」にも5方向に輝きが放射される。星は輝くものの代名詞として使われ、その輝きはまたたいて見えることからより強調されるのだろう。科学的に説明すれば、星のまたたきは大気の揺らぎによるものだというが、大小の星が点滅しながら灯る夜空はいかにも美しい。掲句は寒波を背負っている夜空であり、より透徹な空気を感じさせる。輝きを棘と表現することによって、星に美しさだけではなく過酷な冬季であることも言外に含む鋭利な表情も刻まれた。〈遠眼鏡百ほどそらふ初鴨に〉〈猫すこし横へずらして日向ぼこ〉『遠眼鏡』(2011)所収。(土肥あき子)


January 0212012

 読初は久方ぶりのトルストイ

                           向井ゆたか

いころに読んだ本を再読したいと思うときがある。私の例で言えば、トルストイの『戦争と平和』だとかマンの『魔の山』などがそれだ。しかしただ思うだけで、いつか読もうと先延ばしにしているうちに、初読の時からずるずると半世紀もの時間が流れてしまった。反省してみると、なかなか再読できない本は、たいていがもはやクラシック本となった書物だ。読み返したいとは思っても、それらは現在ただいまの時代的呼吸をしていないために、すぐに作品世界に入っていくことが難しいのである。だから、ついつい先延ばしにしてしまいがちになる。そこへいくと句の作者は、うまいタイミングを見つけたものだと思う。なるほど、正月の時間の流れは普段に比べれば、ずっと非日常的だろう。そしてそんな流れのなかに、ねらいすましたような、トルストイを読む時間を挿し込んだのだった。正月ならではの句であり、「読初」の季語もよく効いている。『円虹例句集』(2008)所載。(清水哲男)




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