このところ毎日、森永ミルクキャラメルを舐めている。愚になる。(哲




2012ソスN3ソスソス4ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

March 0432012

 特急の風が手伝う野焼きかな

                           矢野しげを

月21日、高知市から四万十川に向かう途中、土佐市の水車茶屋という渓流沿いの小さな茶店でうどんをいただいていました。鶏が放し飼いで、メジロが木に挿したみかんをつつきにやってくる、のどかな山あいです。店内には、俳句と短歌の短冊が貼ってあり、「満員の特急列車や雪しまく」「無人駅雪割桜の山近し」(しげを)の句に魅かれ、俳句手帖に書き写していると、茶屋のおかみさんが「お客さん、その俳句作った人、携帯で呼んであげるから」と言ってくださり、矢野しげをさんと出会いました。二十年以上の間、短歌を作られてきた方で、「無人駅に貨車連結の音絶えて引込線にゆれるコスモス」は、かつて、タバコの巻紙に混入する石灰石を輸送するために使用されていた引込線を偲ぶ歌です。 矢野さんは、氏のホームグラウンドであるJR土讃線・吾桑(あそう)駅で吟行中だったところを茶屋のおかみさんに呼び出されたしだいで、掲句は、2012年2月21日午後3時当日、出来たての句です。特急列車が轟音を立て、風切って無人の吾桑駅を通過する。沿線の野焼きは、一瞬、燃え盛る。矢野さんは、もう、六十歳を過ぎたとお見受けしましたが、鉄道を憧憬する心の炎は、少年です。「見ると感動し、感動すると見ます。永く短歌ばかりを作ってきましたが、生きている証を残すために、俳句を始めました。」一枚の短冊が、初めての土地で、初めての人を引き寄せてくれました。吾桑駅までご案内していただき、握手をして別れました。(小笠原高志)


March 0332012

 たらちねの抓までありや雛の鼻

                           与謝蕪村

の眼差しや口元などの句は見たことがあるが鼻は初めてで、思わず飾ってあるお雛様の鼻をしげしげと見てしまった。三越、と書かれた桐の箱に入ったこのお内裏様は私の初節句の時のものなので、今どきのお雛様より小さめで、顔の長さが2.2センチに対して鼻の長さは0.7センチ、鼻筋はすっと通って高く、私の指でも十分抓(つま)める。小さい頃お母さんが、高くなれ高くなれ、と鼻を抓んでやらなかったんだなあ、と作者に思わせるようなお雛様は、きっともっと愛嬌があって素朴でありながら、どこかさびしい顔立ちだったのだろうか。低い鼻にコンプレックスのある身としては、そのお雛様に親近感を覚えると同時に、そういえば同じDNAを持つ妹も、姪の鼻を抓んでいたなあ、けっこう真剣に、とふと思い出した。『新歳時記 虚子編』(1951・三省堂)所載。(今井肖子)


March 0232012

 春の口紅三越の紙の色

                           須川洋子

快な配色。単純化されたものの配合。須川さんは楸邨門の中では数少ない「もの」派だった。「遠足の列大丸の中とほる」の田川飛旅子さんをひとつのお手本に学んだ。「寒雷」のような観念派の中の「もの」派は花鳥諷詠派がいう「もの」とはかなり違う。ほんとうに「もの」なのだ。神社仏閣老病死や季語の本意に依った「もの」ではなくて情緒をあらかじめ設定しない純粋な「もの」。そこらへんに転がっているあらゆる物象を対象とするのだ。周囲の圧倒的な数の「観念」派に抵抗する中で鍛えられた尖鋭的な「もの」派だ。須川さんが逝ってしまった。(「季刊芙蓉」2012・春・第91号)所載。(今井 聖)




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