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May 2752012

 愛憎や指に振子のさくらんぼ

                           山本花山

とえば、男と女が大喧嘩をして、男が出て行ったあと、女はさくらんぼの芯を指でつまみ、振り子のようにもてあそんでいます。愛憎という情動の振り子には、じつはさくらんぼと同じように噛めば甘く、しかし噛み切れない種があります。それは、吐き捨てられることもあれば、土に播かれて芽を出すこともあるでしょう。人の愛憎が、一粒のさくらんぼと同じ重みをもつ程ならば、すこし心が軽くなります。俳句に「愛憎」という言葉は通常使いませんが、「や」で切ったあと、「指」で爆発していた情動を小さくして、「振子」で熱を冷まし、「さくらんぼ」で浄化して、定型に納まりました。掲句でもし、女が指でさくらんぼをもてあそんでいるならば、掌中の珠のように、二人の関係の主導権を握っているということでしょうか。男からすれば、ちょっと困った解釈になってしまってどーもすいません。「現代俳句歳時記・夏」(2004・学研)所載。(小笠原高志)




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