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July 0972012

 冷し中華普通に旨しまだ純情

                           大迫弘昭

どものころならいざ知らず、大人になれば、日常の食事にいちいち旨いとか不味いとか反応しなくなってくる。なんとなく食べ終わり、味覚による感想はほとんど湧いてこない。それが「普通」だろう。作者はとくに好物でもない冷し中華を空腹を満たすためにたまたま食べたのだが、食べ終えたときに「普通に旨し」と、しごく素直な感想が浮かんだのだった。そして、こんな感想が自然に浮かんできたことに、作者はちょっぴり驚いたのである。すれっからしの中年男くらいに思っていた自分にも、まだこんな一面が残っていたのか。声高に他人に告げることでもないけれど、ふっと浮かんだ小さい食事の感想に、眠っていた自分の「純情」に思いがけなくも向き合わされたわけで、作者が戸惑いつつも自己納得した一瞬である。わかりにくい句だが、読み捨てにはできない魅力を覚えた。人は誰にも、自分にも思いがけないこうした「純情」がかくされてあるのではあるまいか。『恋々』(2011)所収。(清水哲男)




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