梅雨明け十日と言いますが、暑いですねえ。ご自愛ご専一に。(哲




2012ソスN7ソスソス19ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

July 1972012

 暑からむいとしこひしの大阪は

                           守屋明俊

の間オリエンタルカレーの懐かしのパッケージを見つけて思わず買ってしまった。その昔、日曜日の昼と言えばオリエンタルカレー提供の「がっちり買いまショウ」を見ていた。いとし、こいしが司会だった。当時は物足りなかったけど、二人にはやすし、きよしのようなしゃべくり漫才にはない大人の味わいがあった。大阪の暑さは格別で、奥坂まやの句にも「大阪の毛深き暑さ其れを歩む」という句がある。湿気が高くてそよりとも風の吹かない大阪の夏はむうっと息が詰まる暑さだ。しかし掲載句は「暑からむ」と推定になっている。大阪から遠くに離れ、今はいない「いとしこいし」の洒脱な漫才を想うように大阪の粘る暑さを懐かしく思っているのだろう。今年の大阪も暑いだろうか。京都の夏、名古屋の夏、東京の夏、それぞれの都市に似合いの人や事柄を取り合わすことで暑さの受け取り方も変わってきそうだ。『日暮れ鳥』(2009)所収。(三宅やよい)


July 1872012

 女等昼寝ネオンの骨に蝉が鳴く

                           ねじめ正也

者のことを最初に明かしてしまえば、ねじめ正一のお父さんである。もう知られているように、乾物屋さんの店主だった。(正一『高円寺純情商店街』参照)商いとはいえ暑い夏には、朝が早い人はかつてよく昼寝をしたものだ。個人商店だから「女等」と言っても、妻や女店員だろう。せいぜい二人くらいだと思われるけれど、商店街のお隣もお向かいも同じように女性たちが、ごろりと束の間の昼寝をむさぼっているのかもしれない。昼間のネオンは用無しで間抜けである。「ネオンの骨」という見立てがおもしろい。その支柱にとまっている蝉がやおら鳴き出したけれども、女たちは起きそうもないし、主人も起こさない。主人である作者は女たちと蝉の声を気にしながら、店番をしながらぽつねんとしているのだろう。夏の昼下がりの商店街の無聊が、のんびりと感じられてくるようだ。昼寝と白昼のネオン、しばし手持ち無沙汰の主人……蝉の声も、どこかしらのんびりとしか聞こえてこない。正也のただ一冊の句集『蠅取リボン』は正一ら子どもたちからのプレゼントだった。清水哲男編『「家族の俳句」歳時記』(2003)所載。(八木忠栄)


July 1772012

 恐竜の踊る仕草や昼寝覚め

                           合谷美智子

しかに恐竜といって思い浮かべたティラノサウルスには、大きな頭と二足歩行する立派な足、そしておぼつかない腕のようなものが付いている。国立科学博物館のHPによると、全長12メートルもあるティラノサウルの腕の長さは大人の人間のそれとほとんど変わりないという。そんな華奢なものが一体なんの役に立つのだろうか。あらためて見れば見るほど奇妙な具合で、指は2本あり、その用途はいまだはっきりしていない。強面の巨体の胸についた腕をぱたぱたと動かす姿を想像すればなにやら滑稽で、掲句の通りまるで盆踊りでも踊っているように見えるのではないか。恐竜にはまだまだ謎が多く、皮膚が残っていないことからその色彩もはっきりしない。もしかしたら黄色と赤のストライプという鮮やかな配色の可能性もあったかもしれない。昼寝の覚め際には、もぞもぞと寝返りを打ちながら夢の記憶をまさぐるような時間がある。目の前を原色の恐竜がひた走り、激しい咆哮を聞き、草原の強い風のなかから抜け出してしまうのは、なんとも惜しい。〈あめんぼに四角き影のありにけり〉〈父のゐて母美しや夕端居〉『一角獣』(2012)所収。(土肥あき子)




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