August 032012
お祭りに行くと絶対はさんする
阿部順一郎
小学生がつくった句というのを目にするが、どうも嘘くさいのもある。発想と書き方を親が手伝ったんじゃないかと思わせる句があるのだ。親や教師が手伝うと往々にして切れに「ね」や「よ」がリズミカルに入る。形を整えるアドバイスはまあ仕方ないとしても発想が従来の俳句観に沿っていたり、ありきたりの「童心」のごときものを見せられるとがっかりする。大人から見た「童心」と子供の本心は違うんじゃないか。子供には大人の想像もつかないような発見や奇想が詰ってるんじゃないかと思うけど、逆にそれが過大な幻想なのか。この句は正真正銘小学生の感慨に思える。大人がアドバイスしたら「はさん」は出ないだろう。もう一度小学生に戻れたらこんな奴と親友になりたい。毎日楽しいだろうな。絶対東大には行けないだろうけど。『平成23年度NHK全国俳句大会入選作品集』(2011)所載。(今井 聖)
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