ここに来て与野党の野合ぶりが露骨に。年内解散の風が強くなった。(哲




2012ソスN11ソスソス10ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

November 10112012

 鯛焼を割つて小豆をかがやかす

                           市川きつね

っかりしていた。「古志青年部作品集 第一号」(2012年3月)で掲出句を読み、いいなあ、小豆だから秋になったら鑑賞させていただきましょう、と思っているうち、立冬が過ぎてしまった。鯛焼はいつでもあるけれど、なんとなく冬にほかほかを食べたい、という印象なのもうっかりの原因かもしれない、と思って見ていると、歳時記によっては鯛焼が冬季として立っているのもある。逆に、小豆だけでは立ってなく、新小豆のみという歳時記もあるが、ここはかがやく小豆の句として読んだ。子供の頃肌寒くなってくると、母が茹で小豆を作ってくれた。大きなアルミの鍋一杯に煮ると、家中にほの甘い香りが漂ってうれしかったものだ。思えば新小豆が出回る頃だったのだろう。この鯛焼の餡はつぶあん、ほかっと割ると小豆がつやつやと顔を出す。その光景は誰もが一度は目にしたことがあり、割ればかがやく、なのだ。そこを、かがやかす、という使役表現にすることで、割る、という一瞬の動作がいきいきと強調され、一気に湯気が立ちのぼり、小豆がまことに美しくおいしそうなのである。(今井肖子)


November 09112012

 水鳥に投げてやる餌のなき子かな

                           中村汀女

の句所収の『汀女句集』は序文を星野立子が書いていて、その序文の前、つまり句集の巻頭には虚子の「書簡」が掲げられている。拝啓で始まり怱々頓首で終わる汀女宛の実際の書簡である。これが面白い。あなた(汀女)は私(虚子)に選のお礼を述べられたが「もう何十年かあなた許りで無く、何百人、何千人、或は何万人といふ人の句を毎日選び続けて今日まで参りました。」そんな多くの句の選をして疲労せずにいることができるのは、それらの中に自分を驚喜せしめ興奮せしめる句があるからで、あなたが私に感謝なさるよりも私の方こそあなたに感謝しなければならないと書く。ここまでなら謙虚で品のいい指導者らしい言い方になるが虚子はもちろんそこで終わらない。「併し斯んなことをいふたが為めに、あなたの力量を過信なさっては困ります。(中略)今日の汀女といふものを作り上げたのは、あなたの作句の力と私の選の力とが相待って出来たものと思ひます。」と続ける。そもそも選のお礼を虚子に言ってきているのだから汀女は言われるまでもなくわかっているのだが、虚子はえげつなく誰のおかげだと念を押す。さらに想像して言えば、この汀女宛の「書簡」が巻頭に載って多くの門弟たちに読まれることを虚子は知っていたので(当然汀女はあらかじめ許可を得ているはず)、その機会を借りて組織のヒエラルキー護持と権威への信奉を強調したとも取れる。やっぱり怪物だなあ。この句集、子を詠んだ秀句が多い。この句もテーマは水鳥ではなく子どもの「気持」そのものが眼目である。『汀女句集』(1944)所収。(今井 聖)


November 08112012

 日本海時化をる柿の甘さかな

                           しなだしん

は瀬戸内の端っこにある神戸で育った。瀬戸内の島へ渡るフェリーや海釣りの小型船に乗ったことしかないが、荒れ狂う海を見た覚えがない。大人になって日本海や太平洋の島々へ船で渡る機会も増えたが、驚いたのは少し天候が悪くなると海がその様相を一変させることだった。定期船が欠航になったその日に小さな漁船が木の葉のごとく高波に上下する様を島の浜から眺めているだけで船酔いしそうになった。特に日本海は北西の季節風が吹く冬場なると波高く荒々しい海へ変貌するようだ。「時化をる」とあるから数日同じような海の状態が続いているのだろう。日本海に取り囲まれた佐渡島には「おけさ柿」という高品質の柿がある。柿が甘くなるのと海の時化とは関係がないだろうが掲句を読むと荒波に揉まれることで柿の甘味が増すように感じられる。『隼の胸』(2011)所収。(三宅やよい)




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