クリスマス寒波到来の予想。お互い、風邪には用心しましょう。(哲




2012ソスN12ソスソス21ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

December 21122012

 雪二日馬も偽装の白衣着ぬ

                           須合軍曹

号は軍隊の階級のまま。「寒雷集」次巻頭三句の中の一句。投句地は営口とある。営口は中国遼寧省の遼河河口の港湾都市。従軍地からの投句である。そうか、雪中では馬に偽装のための白衣を着せたんだなと軍の装備の細やかさにあらためて驚く。この句、表現に無駄のない良い句である。ヒューマニズムや反戦意識の押し付けは「正義」ばかりが表に出て今ふうにいうと「どや顔」の俳句になる。こういう淡々と事実を見据えた表現にこそ時代の真実が浮き彫りになる。軍曹は下士官。僕らの世代は人気テレビ映画「コンバット」のヴィック・モロー扮するサンダース軍曹を思い出す。最前線に張り付いて部下を愛し叱咤しながら敵を粉砕してゆく「現場監督」だ。須合軍曹は果たして生還できたのかどうか。「寒雷・昭和17年3月号」(1942)所載。(今井 聖)


December 20122012

 どこへ隠そうクリスマスプレゼント

                           神野紗希

レンダーを見ると今年のクリスマスは火曜日。今日明日と小さな子供たちが学校や幼稚園へ行っている間にクリスマスプレゼントを買いに行く方も多いかもしれない。会話のはしばしに欲しいものを探り当ててお目当てのものを捜し歩く一日。さあ、うちに帰ってからが大騒ぎ。天袋の中、洋服ダンスの奥?どこへ隠しても子供に見破られそうな気がする。大きなものなら車のトランクに入れたままにしておくほうがいいかもしれない。そのプレゼントを抜き足、差し足でそっと枕元に置くのもドキドキなのだけど、考えてみればとても楽しいイベントだった。「どこへ隠そう」の後に続く言葉は何をおいても「クリスマスプレゼント」以外に考えられない。翌朝子供たちが目覚めてあげる大きな歓声、プレゼントを見せに駆けて来る足音。クリスマスプレゼントにまつわる懐かしい思い出がどっと押し寄せてくる一句だと思う。『新撰21』(2009)所収。(三宅やよい)


December 19122012

 寒月やさて行く末の丁と半

                           小沢昭一

月10日に小沢昭一さんが83歳で亡くなった。ご冥福をお祈りします。夏頃に体調を崩され、ラジオの長寿番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」は、このところ体調不良のため、再放送で名調子をセレクトして楽しませてくれていたから、病状が気に懸かっていた。かつて「余白句会」にゲスト参加していただいたこともあった。また個人的には講演をお願いしたり、著作をいつも送っていただいたりしていた。そうしたなかの一冊から、追悼のこころをこめて掲句を取りあげた。すさまじくも寒々とした冬の月をまず配しておき、必ずしも安定していない芸人の行く末を、冗談めかして博奕の丁半になぞらえたあたりは、いかにもこの人らしい。近頃のあやしげで物欲しそうな“芸ノー人”が、テレビや雑誌をにぎわせている図は寒々しいかぎりだけれど、小沢さんは甘辛を熟知した本物の芸人魂をもっていた。ちょいと(いや、大いに?)スケベだったところも、私などは敬愛し魅了されていた。芸人としての甘辛が、うまい具合にこの人の俳句をいい感じに湿らせていたように思われる。ご自分の句を「苦しまぎれの即席吟ばかり」と謙遜されていたが、「スナックに煮凝のあるママの過去」などは天下一品の名句であると確信する。合掌。『楽し句も、苦し句もあり、五・七・五』(2011)所載。(八木忠栄)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます