ブラジルのナイトクラブ火災惨事。どんな構造の建物なんだろう。(哲




2013ソスN1ソスソス29ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

January 2912013

 パイプオルガン冬の木立のやうに

                           浦川聡子

イプオルガンのパイプは一本でひとつの音が出る仕組みなので、音の数だけパイプが必要となる。オルガンの外観から突出しているものだけでなく、裏側には大小のパイプがまさに林立している。音色を増やすほど巨大になる楽器は、基本的な音色に加え、太いパイプを使ったあたたかな音色、細めのパイプを使ったバイオリンやチェロのような音色、またトランペットやオーボエのようなリード系の音まで無数の種類を網羅し、東京芸術劇場の世界最大級といわれるパイプオルガンはおよそ9,000本というものだ。さまざまな楽器にそれぞれにふさわしい季節があるとしたら、楽器の王様と呼ばれるパイプオルガンの深々と広大な音色は間違いなく冬を思わせる。冬の木立は、風をまとい、鳥を羽ばたかせ、どさりと雪を振り落とす。木の葉で隠すことのない潔い直線を天上へと放り出す。かの劇場のパイプオルガンは残念ながら現在メンテナンスだが、また広大な木立が奏でる冬の音色に身をゆだねてみたい。〈ピチカート次々飛んで冬の星〉〈掲げ持つホルン銀色冬ざるる〉『眠れる木』(2012)所収。(土肥あき子)


January 2812013

 寒天を震るわせている大太鼓

                           あざ蓉子

時記で「寒天」を調べると、いわゆる傍題として「冬の空」の項目に添えられている。これに従えば、句意は「大太鼓の重低音が勇壮に、寒々とした冬の空を震わせるように響いている」となる。ところが「寒天」にはもう一つの意味があって、言わずと知れた食べ物としてのそれだ。こちらの寒天は厳冬期に製造されるから、冬空と区別するために、歳時記には「寒天製す」などの別項目が立てられている。この食べ物のほうの命名者は隠元和尚だそうで、彼は「寒空」や「冬の空」を意味する漢語の寒天に「寒晒心太(かんざらしところてん)」の意味を込めて、寒天と命名したという。明らかに掲句はこの二つの「寒天」を意識していて、実景としてはゼリー状に濁った冬空をぷるぷると震わせて大太鼓の音が響く情景を詠んでいる。寒々とした曇天の冬空を震わせて太鼓が打ち鳴らされる情景は、身の引き締まる思いがわいてくるのと同時に、鬱屈した思いを解きほぐすような効果を生む。「花組」(57号・2013年1月刊)所載。(清水哲男)


January 2712013

 一禽の影も許さじ結氷湖

                           奈良千代子

者から、掲句は、1981年の冬、「北海道新聞」の俳壇に掲載されたと聞いています。室蘭で活躍した俳人で、掲句は息子さんの運転で、厚岸まで吟行したときの作です。当時、室蘭から厚岸まで車で10時間。北海道の中でも比較的温暖で開けている室蘭から、極寒の地に辿り着いた感慨もあったでしょう。空には鳥一羽さえも飛んでいない。地上にも動物は一匹もいない。助動詞「じ」が生き物の存在を禁じ、切り、結氷湖の存在のみを示します。「一禽の〜許さじ」は、「一切〜ない」という語法にも通じますし、藤原定家の「見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮」にも通じる無の世界です。また、カ行音と「じ」の配列が、硬く凝縮した湖面に響くような韻律があります。(小笠原高志)




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