纉。mq句

February 0222013

 寒灯といふ暖色のまたゝける

                           後藤洋子

灯、冬の灯火である。寒中に限らないが、寒、の一字がそうさせるのか、冬灯、よりともしびの色を感じさせない寒々しさがある。それをこの句の作者は、暖色、と表現している、そこが印象的だった。寒灯というと、灯っていても逆に灯っているからこそ寒々しい、と言いたくなるが、遠くまたたく灯火を見ているうちに、寒い闇の中にあるからこその温もりが、その色から伝わってきたのだ。同じ作者に〈地吹雪や白もまた炎えたぎる色〉とある。地吹雪の激しさが冷たい雪の白を、炎えたぎる色、とまで言わせたのだろうが、いずれの句も、独特の色彩感覚と思いきりの良い表現力が、一句を個性的に仕上げている。『曼珠沙華』(1995)所収。(今井肖子)




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