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May 0652013

 もう着れぬ青い服あり修司の忌

                           桑田真琴

山修司の忌日は1983年5月4日である。あれからもう三十年が経ったのか。掲句の作者の年譜からすると、そのときの作者は二十歳そこそこの若さだった。そんな日々に着ていた青い服がまだ残っており、それはどこかで当時の修司を愛読した気分につながっていて、甘酸っぱい若き日々のあれこれを思い起こさせる。しかし、その服が「もう着れぬ」ように、修司も作者の心には生きているが、現実的によみがえることはないのである。青春は過ぎやすし。いまにしてこの感慨が、五月の風のように胸元を吹き過ぎていく。葬儀は亡くなってから四日後の9日に、青山斎場でいとなまれた。上天気の日で、気持ちの良い葬儀だった。「あらゆる寺山作品のなかで、ベストはこの葬儀だったね」と、寺山の歌人としての出立に立ち会った杉山正樹は言っていた。「他者の死は、かならず思い出に変わる。思い出に変わらないのは、自分の死だけである」(修司「旅路の果て」より)。『上馬処暑』(2013)所収。(清水哲男)




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