明日の都議選。どう考えても投票すべき候補者も政党もない。(哲




2013ソスN6ソスソス22ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

June 2262013

 わが足のああ堪えがたき美味われは蛸

                           金原まさ子

元の歳時記には「蛸」は載っていないが、今が旨いよ、と魚売り場のおじさんが言ったなあ、と思ったら、夏季に掲載されている歳時記もあるという。知能が高いゆえなのか、足を食べるのはストレスからだそうだが、ああもう限界、という感じなのだろうか、その瞬間の鮹の気持ちになると切ない。そう思っていたら、耐えがたき美味であるという、これはさらに切ない。その痛みに我に返りながらも、耐えがたいほど美味であったら、そう考えると抜け出せない自己矛盾に陥ってゆくだろう。もし自分自身を食べ続けてしまったら、最後は何が残るのか。子供の頃満天の星空を見上げながら、この中のいくつがリアルタイムで存在しているのか、と思った瞬間にも似たぞわぞわ感に襲われる。『カルナヴァル』(2013)所収。(今井肖子)


June 2162013

 履歴書に残す帝国酸素かな

                           摂津幸彦

なで終わるのだから、帝国で切れずに帝国酸素と一気に読むかたちだろう。履歴書が出てくるから帝国酸素は会社名という想定だろう。実際にありそうな社名だが実在したかどうかはどちらでもいい。帝国酸素という社名から作者は大戦前の命名という設定なのだ。「残す」だから過去に存在したという意味が強調される。帝国が滅びてその名が社名に残っている。そこを突くアイロニーがこの句の狙いだ。「酸素」にはそういう空気はその後もつながっているという仕掛けもあるのかもしれぬがそれは作者の想定外かもしれない。定型のリズム575をその区切りで意味を繋げないで転がして思わぬ効果を狙う。この句で言えば「かな」はただゴロの良さによって口をついて出るあまり意味のない切れ字だ。俳句という枠の中で何かを言うという作り方ではなく湧いてくる言葉の片々をパズルのように並べてみて一句の効果を計る作り方だ。『摂津幸彦選集』(2006)所収。(今井 聖)


June 2062013

 青梅雨や部屋がまるごと正露丸

                           小林苑を

ッパのマークの正露丸。お腹が痛いときのみならず虫歯にも効くという万能薬。その昔、フンコロガシの糞のような正露丸や黄色っぽい肝油を顔をしかめて飲んだものだ。あの独特のにおいと味。漢方薬を飲み慣れた人はなんとも思わないかもしれないが、小学生の私には嫌な薬だった。梅雨時のじめじめした部屋が「まるごと」正露丸!まるで部屋の中にいる自分も正露丸の中に丸め込まれたみたい。じめじめと毎日降り続く雨に悩まされているとき、陰気臭くてやだなあ。と愚痴をこぼす代わりに「部屋が丸ごと正露丸」と呟けば漫画チックな図が想像されてクスッと笑えそう。『点る』(2010)所収。(三宅やよい)




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