9月の3連休、その2.今度は台風のような尻尾はついていない。(哲




2013ソスN9ソスソス21ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

September 2192013

 丁寧に秋のビールを注がるる

                           澤田和弥

は一年中ほとんどビールしか飲まなかった。四季を問わず、トマトと豆腐とラガーの大瓶で始まる晩酌、気に入りの小さいグラスでゆっくり延々と飲むのが好きだったがそのうちさすがに、あと一本は飲めない、と調節用に缶ビールを買うようになった。缶はどれも同じだなあ、などと言いながら、グラスに注いでいたのを思い出す。そんな光景がしみついているからか、ビールといえば夏、と実感しにくいのだが、秋のビール、と言われると、しみじみとした季感と共に冷えすぎていない茶色の壜麦酒が浮かぶ。麦酒が注がれるグラスにそそがれる二人の視線、静かに注いでくれているその人と、それを丁寧と表現する作者、美味しい麦酒と一緒に長い夜がつづく。『革命前夜』(2013)所収。(今井肖子)


September 2092013

 まひるまの秋刀魚の長く焼かれあり

                           波多野爽波

たり前といえば、当たり前の光景だが、不思議な臨場感がある。その秘密はひとつは、上五の「まひるまの」にあろう。これが、夕餉の準備で、たとえば、「夕方の秋刀魚の長く焼かれあり」では、おもしろくもなんともない。「まひるま」という明るい時空で焼かれることによって、秋刀魚の存在感は増してくる。一句のもうひとつの妙味は、「長く」にある。秋刀魚が長い形をしていることは常識だが、常識をあえて、言葉にすることによって、対象物のありようを再認識させてくれる。『骰子』(1986)所収。(中岡毅雄)


September 1992013

 雀蛾に小豆の煮えてゐる匂ひ

                           ふけとしこ

に「イモムシ」と呼ばれるものは雀蛾の幼虫のようである。雀蛾の幼虫は地中にもぐって蛹になり、独特の三角形の翅をもつ成虫に羽化するという。以上はネットで得た雑駁な情報だけど、何より「雀蛾」という名前が魅力的だ。色鮮やかな蝶にくらべ夜間活動する蛾は色も地味であまり歓迎されない。掲句では、迷い込んだ雀蛾が台所のどこかに止まっているのだろう。蛾は蝶のように翅をたたまない。水平に翅を広げたままじっとしている雀蛾は壁に展翅されたように見える。そんな雀蛾に暗赤色の小豆が煮える匂いがしみ込んでゆく。何気ない日常の情景だが夏から秋へとゆっくり変わってゆく夜の時間と秋の色彩を感じさせる佳句だと思う。「ほたる通信 II」(2012.10)所収。(三宅やよい)




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