January 042014
電線の弛むもゆたか初景色
髙勢祥子
初景色は、元日の四方の景色。昨日までと何ら変わらない風景ではあるけれど、年があらたまることで淑気が満ちて見えるのだ。何にそれを感じるか、何を見てどの景を切り取って初景色と言うか。この句の作者は頭上に横たわり揺れる電線に目を留めている。見なれたそのゆるやかな曲線を、ゆたか、と表現することで、作者の晴々とした心持ちと共に清々しい初御空がどこまでも青く続くだろう。(硬く青く一月一日の呼吸〉〈初鳩の考へてゐるふうで暇〉など、他にも個性的な正月の句が並んでいる。『昨日触れたる』(2013)所収。(今井肖子)
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