東京地方、終日雪の予報。積もると、明日の句会にでられない。(哲




2014蟷エ2譛14譌・縺ョ句(前日までの二句を含む)

February 1422014

 脱いである褞袍いくたび踏まれけり

                           波多野爽波

袍(どてら)は、厚く綿を入れた防寒のための日本式の上着。何か用があって、脱いだ時、きちんと衣紋掛けにかけずに、その辺りに、放っておいたのである。それも、ちょうど、人が通る場所だったので、何回も踏まれてしまった。滑稽味のある作品である。爽波には、〈だから褞袍は嫌よ家ぢゆうをぶらぶら〉(『波多野爽波全集』第二巻収録)という句もある。『一筆』(1990)所収。(中岡毅雄)


February 1322014

 春疾風聞き間違へて撃つてしまふ

                           野口る理

の突風はかなりのものだ。気象協会が出している『季節と暮らす365日』によると「初春は春と冬がせめぎあい、日本付近を通る低気圧は発達しやすく、風が強まる」とある。春疾風は寒冷前線による嵐で、このあとは日本海側は大雪や海難、太平洋側は乾燥や強風による大火事に警戒が必要、と記述されている。春疾風そのものが不吉な予感を含んだ季語なのだ。何を聞き間違えて引き金をひいてしまったのかわからないが、撃たれたのは人間だろうか獣だろうか。それにしたって「聞き間違へて」撃たれたらたまらない。撃たれた側は悲劇だけど、この言葉に、何とも言えない諧謔が含まれている。耳元で逆巻く春疾風の雰囲気も十分で、季語の本意を捉えつつ今までに見たことのない面白さを持った句だと思う。『しやりり』(2013)所収。(三宅やよい)


February 1222014

 春銀座また出し忘れたる葉書ここ

                           永井龍男

季を問わず、投函するつもりの葉書をカバンに入れたまま投函するのを忘れてしまい、帰宅してから「しまった!」と気がつくという経験は、どなたにもあると思う。私にも何回か同じような経験があるし、ひどい時は葉書を二日間持ち歩いたなんてこともある。掲句は「また」というから、一回や二回の失敗ではないのだ。あの謹厳そうな表情をした龍男が「また、やっちゃった!」というのだから、どうにも可笑しい。本人の苦笑が見えるようだ。春の銀座だから陽気も良くて、いろいろなモノやコトに気を取られてブラブラしているうちに、つい投函しそこなった葉書を「まだ、ここにあった」と帰宅してから確認して頭をかいている図である。「ここ」というリアリティーが効果的である。銀座あたりを歩く場合にはできないことだが、私はいつも利用している駅へ行く途中にポストがあるから、投函を忘れないために郵便物はカバンなどにしまわず、手に持ったまま家を出てポストの前を通ることにしている。手に持ったまま忘れてしまうことは、まだ今のところない。龍男の春の句に「立春や王将は豊かに厚し」がある。『文人俳句歳時記』(1969)所収。(八木忠栄)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます