76回目の誕生日。この数字は信じられないが、信じるしかないな。(哲




2014蟷エ2譛15譌・縺ョ句(前日までの二句を含む)

February 1522014

 春の雪波の如くに塀をこゆ

                           高野素十

前歳時記でこの句を見たとき、あまりピンと来なかった。春の雪は降ったそばから光に溶けてしまうようなイメージで、波の如く、という感じが今ひとつわからなかったからだ。そこへ先週の雪、牡丹雪というにはあまりに細かい雪の粒が止む気配もなく降り続き時折の強風にまさに、波の如く、を実感した。傘をたたんでフードをかぶり、これを吹雪って言ったら雪国の人に叱られそうだけど吹雪だね、などと言い合いながら歩いたが、やや水っぽい春の粉雪は風に乗って塀を越え屋根を越え、東京を覆っていった。溶け残った雪にいつまでも街は冷たいままだが、日差しは確実に明るくなってきている。『合本俳句歳時記』(2008・角川学芸出版)所載。(今井肖子)


February 1422014

 脱いである褞袍いくたび踏まれけり

                           波多野爽波

袍(どてら)は、厚く綿を入れた防寒のための日本式の上着。何か用があって、脱いだ時、きちんと衣紋掛けにかけずに、その辺りに、放っておいたのである。それも、ちょうど、人が通る場所だったので、何回も踏まれてしまった。滑稽味のある作品である。爽波には、〈だから褞袍は嫌よ家ぢゆうをぶらぶら〉(『波多野爽波全集』第二巻収録)という句もある。『一筆』(1990)所収。(中岡毅雄)


February 1322014

 春疾風聞き間違へて撃つてしまふ

                           野口る理

の突風はかなりのものだ。気象協会が出している『季節と暮らす365日』によると「初春は春と冬がせめぎあい、日本付近を通る低気圧は発達しやすく、風が強まる」とある。春疾風は寒冷前線による嵐で、このあとは日本海側は大雪や海難、太平洋側は乾燥や強風による大火事に警戒が必要、と記述されている。春疾風そのものが不吉な予感を含んだ季語なのだ。何を聞き間違えて引き金をひいてしまったのかわからないが、撃たれたのは人間だろうか獣だろうか。それにしたって「聞き間違へて」撃たれたらたまらない。撃たれた側は悲劇だけど、この言葉に、何とも言えない諧謔が含まれている。耳元で逆巻く春疾風の雰囲気も十分で、季語の本意を捉えつつ今までに見たことのない面白さを持った句だと思う。『しやりり』(2013)所収。(三宅やよい)




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