March 132014
くちびると背中合わせの椿かな
男波弘志
いつも散歩に行く近くの公園にようやく椿が咲き始めた。「背中合わせ」は二人が後ろ向きに背と背を合わせること。そこから転じて二つのものが反対向きに接している意、二つの物事が表裏の関係にあることともとれる。肉厚な椿の花とくちびる、真っ先に連想するのは濃い赤色だ。くちびると椿の間に「背中合わせ」という言葉を置いたことで唇の後ろ側に椿が咲いているような不思議な感じがする。また、くちびると椿の間に男がいるとすると、その立ち位置は。等々くちびると椿の関係についてエロっぽい想像をめぐらしてしまった。『瀉瓶』(2014)所収。(三宅やよい)
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