甲子園。岩国(山口)そして小山台(東京)が初日で沈没。あーあ。(哲




2014N322句(前日までの二句を含む)

March 2232014

 手のひらにのるほどの骨春の寺

                           竹内友子

週末、彼岸にはすこし早かったが墓参りに行き、お彼岸っていい頃合いにあるよねと当たり前のことを言い合った。お盆と異なり日本独特の行事だというが、真西に沈む太陽に自然に手を合わせるというのも頷ける。そして最近読んだ掲出句を、鶯を聞きながら思った。二十年ほど前に生後ほどなくお孫さんを亡くされた時の句で、第一句集の冒頭に置かれていた数句のうちの一句である。あとがきに、俳句は日記のように私の心に根付いている、とある。作者にとって春の訪れは悲しみの記憶とともにあるが生まれた言葉は、その心情を永遠のものとしてとどめながら生きる力を与えるのだろう。『春時雨』(2014)所収。(今井肖子)


March 2132014

 骰子の一の目赤し春の山

                           波多野爽波

多野爽波は、取り合わせの重要性について、生前、しばしば説いていた。この句は、配合の代表的な佳句。確かに、骰子の目は、一だけ赤い。ただ、そんな些事を俳句にしようなどと、一体、誰が考えたであろう。その部分に、まず、新しさを感じさせる。一方、骰子に配合されるものは、「春の山」である。家の中、骰子の目という小さなモノと、家の外、春の山という拡がりのある空間が結びつけられている。この季語は、他のことばに置き換えることが出来ない。一句は、明るく、めでたさを伝えてくる。『骰子』(昭和61年)所収。(中岡毅雄)


March 2032014

 蒲公英や三つ揃ひ着てヘルメット

                           榮 猿丸

付バイクにでも乗るのだろうか。この頃は三つ揃いの背広姿の人もあまり見かない。例えば建設現場を見にきた重役なら上等そうな三つ揃いスーツにヘルメットという姿はありそう。だけど、そんな重さは蒲公英に似つかわしくない。ここは可憐な蒲公英との取り合わせで、春らしく明るいシーンが似合う。普段はTシャツにジーンズで跨がる原付に今日は三つ揃い。結婚式かパーティーか初出勤か。ヘルメットと三つ揃いのアンバランスが特別な日を感じさせる。その華やいだ気持ちを春の日差しを浴びて輝く蒲公英が引き立てている。丸く愛嬌のある蒲公英は胸元に挿しても似合いそうな。『点滅』(2014)所収。(三宅やよい)




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