August 202014
フード付きマント/影の色持ち/オアシスの暑さ
ジム・ケイシャン
原句は「a burnoose takes on / the color of the shade / oasis heat」(Jim Kacian/邦訳:夏石番矢)。海水浴場の砂浜にかぎらず、暑い日差しのなかでは、フード付きマントのフードをすっぽりかぶっていないと、炎暑はたまったものではないし、健康管理上ヤバい。「影の色」とはマントについた「フード」による日影を意味していると思われる。単なる「影」ではなく、「影の色」と表現したところにポエジーが感じられる。フードで暑さはいくぶん避けられるとしても、マント全体は暑い。フードを「オアシス」ととらえても暑さは避け切れない。でも、確かに多少なりともホッとできるような、「オアシス」という語感がもつ救いが若干なりともあるだろう。句の舞台は実際の砂漠ではなくて、暑い日差しのなかでの「フード付きマント」であり、それを「オアシス」と喩えたものと私は解釈したい。ケイシャンはアメリカ人で、「英語俳句を創作し、広めることを目的とした団体を創立し、ディレクターを務める」「多くの俳句の本を出版する」と略歴紹介にあるとおり、英語俳句の実力者である。「吟遊」63号(2014)所載。(八木忠栄)
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