スコットランド独立派、負けたが、実を取って実質的な勝利。(哲




2014N920句(前日までの二句を含む)

September 2092014

 葛の葉の吹きしづまりて葛の花

                           正岡子規

ず香りで気づくことが多い葛の花。成長期には一日数十センチメートルも伸びるというから強烈な生命力である。掲出句は、これが葛の花よ、と教わったとき一緒に教えられた句でその時は、ふーん、と聞き流してしまったように思うのだが、秋になって葛の花に出会うたびに心に浮かんで、気がつくと愛誦句となっていた。群生する大きな葛の葉を吹き渡る秋風、その風が止んだ後いつまでも残る花の香りが余韻となって続く。静かな句ほど印象深いということもあるのだろう。昨日九月十九日は子規忌日、秋に生まれ秋に逝った子規である。『花の大歳時記』(1990・講談社)所載。(今井肖子)


September 1992014

 鵙の贄罪ある者をさらすごと

                           鈴木真砂女

は九月も中旬になると枯枝や電線にとまって尾をまわすように動かしながらキイキイッ!と甲高く鳴き始める。秋の縄張り宣言の高鳴きである。また他の鳥の声を真似すると言われ百舌鳥とも表記される。餌は高い枝などから地上のえものを探しさっと降下して捕食する。また捕えたものを小枝や鉄条網に刺しておく習性がありこれを鵙の贄と呼ばれている。枯枝に蛙や昆虫がひからびて刺っていたら鵙の贄と思えばよい。訳も分からずこんなものを見れば罪人が縛られてさらし者になっている河原へと連想が導かれる。小生も日々忸怩たる生活に多少の罪の意識を負って生きていますが、表向きはしらっとした顔をさらしつつ歩いています。面目無い事でございます。『紫木蓮』(1998)所収。(藤嶋 務)


September 1892014

 運動会静かな廊下歩きをり

                           岡田由季

の頃の学校はいつ運動会をしているのだろう? むかし運動会と言えば秋だったけど、この頃は残暑が厳しく熱中症になる危険があるので、9月の運動会は少なくなっているのかもしれない。さて、運動場は応援の声や競技の進行で沸き立つようなのに「ちょっとトイレ」と入る校内の廊下は人気なくしんと静まり返っている。「運動会」と言えば思い浮かべるシーンと少し外れた視点から掲載句は詠まれている。きっと誰もが経験しておるが、気にも留めないで通り過ぎてしまう出来事だろう。そんな場面に目を向けて言葉で丁寧に掬い取っている。ひたひたと歩く自分の足音と、時折ワーッとわき立つ遠くの歓声まで聞こえてきそうだ。『犬の眉』(2014)所収。(三宅やよい)




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