午前5時に起床。気温は17度と少し肌寒い。秋深し、だな。(哲




2014ソスN10ソスソス9ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

October 09102014

 秋澄むと子犬を膝に乗せにけり

                           山西雅子

年は秋が早いようで、9月の終わりに早くも金木犀が香りはじめ、朝夕の寒暖差に早々に長袖を引っ張り出した。例年なら10月に入ってからが秋本番というところだが今年は晩秋の寒さも時折感じられる。「秋澄む」は大陸からの冷たい大気がおりてきて空気が澄み、風景はくっきりと、人の声、虫の声もはっきりと聞こえるもっとも秋らしい季候を表す言葉。暑い頃は撫でられるのも、近寄るのも厭う飼い猫や飼い犬たちも冷たく澄み切った空気に人懐かしくなるのか膝に寄ってくるようになる。膝の上で気持ちよさそうに身体を丸めて眠りはじめた子犬も主人とともに秋の気持ちよさを楽しんでいることだろう。『沙鷗』(2009)所収。(三宅やよい)


October 08102014

 屋根草も実となる秋となりにけり

                           巌谷小波

ほど草深い田舎へ行けば、あるいはこうした風景をまだ見ることができるかもしれないけれど、今や昔懐かしい風景になったと言っていい。古びた藁屋根(屑屋根とも呼ばれた)に何かの草がはえて、元気よく成長して風に吹かれているのを見たことがある。(風流などと言う勿れ。電子辞書を引いても、「藁屋根」「屑屋根」という言葉は出てこない)秋になればさらに実をつけるものもある。昔の田舎では珍しくなかった風景を、ユーモラスにとらえている。そういう家では、屋根にはえる草などにかまっていられなかったのだろう。ユーモラスでのんびりとした時間が、屋根草にも実をつけていたのだ。10年ほど前に韓国を旅してある農村を通りかかった際、藁屋根に大きなカボチャがどっしりと、いい色合いで実っていたのを目撃して、思わずワァーと声をあげた。「……なる……なりにけり……」のリズムが快い。小波の句には「桜さく日本に生まれ男かな」があり、芝増上寺の句碑に刻まれているという。『文人俳句歳時記』(1969)所収。(八木忠栄)


October 07102014

 竿の手の不意に暮れたる子持鮎

                           田草川㓛子

月下旬から10月にかけて、鮎は産卵のため川を下る。この時期の卵を抱いた鮎は、みずみずしい夏の鮎とは違った楽しみがある。夢中になっている時間は、思っているよりずっと早く過ぎている。ふと我に返ると竿を握る手元にも、川面にも暗闇が広がって、一瞬キツネにつままれた心地となる。時計を確かめてみても、確かにその暗さに見合った時刻であるが、それでもまだ「そんなはずはない」といういぶかしく思う気持ちが「不意に」に込められる。つるべ落としの秋の日の実感とともに、魚籠に入っている釣果が子持鮎だという哀れも感じられ、釣り人は荒々しく川音に包まれる。〈新米を真水のごとく掬ひけり〉〈稲の束抱へて胸の濡れにけり〉『弓弦』(2014)所収。(土肥あき子)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます