October 172014
時々は小鳥飛び交ひ雨の森
長谷川敏子
森が色付き始め季節は小鳥来る秋へと移ろってゆく。日本の秋は野分、秋雨前線、秋黴雨と梅雨時以上に降雨量が多い。その分雨の合間の青空は「梅雨晴間」同様「秋晴れ」となって目に沁みる。その空を渡って大陸からツグミ、ヒワ、ヒヨドリなどの小鳥が群れをなしてやって来る。豊穣の森には赤い木の実や草の実などの餌がいっぱいである。活き活きとした鳥たちが森の雨の間合いを計って飛交い、やがて来る冬を前にこれらの餌を求め飽食の時を過ごしてゆく。他に作者が江戸千家の茶人としての句<亭主として袷の無地と決めてをり><きりもなく茶を点ててをり夏衣><末席も水屋も仕切る青簾>などがある。『糸車』(2007)所収。(藤嶋 務)
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