北国では吹雪とか。いよいよ冬将軍のお出ましですね。(哲




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November 13112014

 後ろ手に歩むは鴨の気持ちかな

                           こしのゆみこ

らりと晴れあがった気持ちのよい道を何も持たずに、手を後ろに回してぶらぶら歩いているのだろう。陸に上がった鴨は羽を後ろに揃え、水かきをつけたオレンジの足でよたよた歩く姿がユーモラスで可愛い。「気持ちかな」だから手を使わずに足だけを推進力に進むその動き、おしりが自然と左右にふれる動作に鴨の気持ちを味わっている。直喩や見立てだと対象に距離感があるが、自分の気持ちにぐっと引きつけて詠んだことで後ろ手に歩く人の姿とよたよた歩く鴨が自然に重なる。なんだか私も後ろ手で歩くたびに鴨の気持ちになって歩けそうな気がする。『コイツァンの猫』(2009)所収。(三宅やよい)


November 12112014

 錦秋の中に小さき小海線

                           中島誠之助

ごとな秋色に彩られた紅葉を錦秋と呼ぶことは、俳人ならずともご存知のはず。紅葉のさかりの山などは、まるで山火事のごとく激しく炎え立っている。小淵沢から小諸まで通じているのが小海線。のどかなローカル線である。私はかつて、仕事で八ヶ岳へ行くのに何回となくこの線を利用したことがある。沿線は観光的に開発されてしまったが、場所によっては電車の窓いっぱいに錦を広げたか、と錯覚されるような紅葉が見られる。また、高原のコスモスの鮮やかな色どりも忘れがたい。錦に包まれたような丘陵や山を縫うようにして、二、三輛編成の電車がゆったりコトコト走っている。電車も炎え立つ錦にすっぽり包まれているようだ。誠之助はご存知の古美術鑑定家。私はテレビの「開運! なんでも鑑定団」が好きで観ているが、たとえ偽物でも、この人は「いい仕事していますね。大事になすってください」とやさしい言葉をかける。俳号は閑弟子(かんていし)、句集に『古希千句』(2010)がある。「俳壇」(2014.11)所載。(八木忠栄)


November 11112014

 下の子を抱き髪置の子を連れて

                           山内裕子

置(かみおき)の儀は、3歳となった男女児が11月15日に行う儀式。七五三の三に組み入れている地域もあるが、元来は別の行事である。儀式は頭に綿や白糸を白髪として乗せ、長寿を祈願する。7歳までに亡くなる子が多かった時代には、こまめに節目を用意することで、成長を喜び、神への感謝を捧げていた。医療が発達した現代でも、子の成長を願う親心から昔ながらの儀式を行う。しかし、幼い頃の兄弟、姉妹はたとえ二歳ほどの開きがあろうと、聞き分けのない赤ん坊が二人揃っているようなものだ。晴れ着の幼児と、すやすやと眠る赤ん坊、そして若い父母も美しく装う景色にたどりつくまでの、水面下の奮闘は想像にあまりある。掲句には並んで〈行き合はす人に祝はれ七五三〉が置かれる。はれの日に向けられるあたたかな視線もまた、どの時代にあっても健やかであれとの願いが込められる。『まだどこか』(2014)所収。(土肥あき子)




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