December 012014
老い兆す頭ごなしに十二月
小嶋萬棒
老いは、いずれは訪れるにしても、万人に共通の年齢で訪れるわけではない。私の体験や観察によれば、あまり年齢には関係なく、兆はある日突然のようにやってくる。どうも身体の具合がおかしいな、復調しないなと感じはじめたときには、それが老いの兆なのだ。認めたくはないけれど、そうなったらもう以前の体調には戻らないのである。若いころの身体の不調ならば、ほとんどが復調するのだが、そうはいかなくなってくる。そこが老いの辛いところで、そうなったらひたすらに不具合が進行しないようにと願うわけだが、そのためには時間にゆっくり流れてくれるよう祈るくらいしか術がない。しかし、その気持ちが強ければ強いほど、時間が早く流れていくように感じられる。もう今日から十二月。私にも有無を言わさず「頭ごなしに」やってきた。『新版・俳句歳時記』(雄山閣出版・2001)所載。(清水哲男)
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