December 162014
冬帽子試してどれも似合はざる
井出野浩貴
重ね着するより帽子をかぶるほうがあたたかいと知ってから、冬場に帽子は欠かせないものになった。しかし、ニットや頭にフィットする素材が多い冬帽子は、輪郭と一体化するため、顔のかたちが強調される。掲句では、ショップであれこれ試してみてもどうもしっくりしないし、店員さんの言葉も素直も信用できなくなってくる。それでもいくつも被ってみて、いらないと出て行くのも悪い。さらに、店内の照明のなかで汗ばんた頭に被るのさえつらくなってきている状態と推察する。似合うか、似合わないかより、実は見慣れていないことにも原因はあるようだ。つば付きのものだと意外と違和感がないというので、初挑戦の方はぜひお試しあれ。〈不合格しづかに踵かへしけり〉〈卒業す翼持たざる者として〉『驢馬つれて』(2014)所収。(土肥あき子)
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