ホワイト・クリスマスには憧れるが大雪クリスマスはちょっとね。(哲




2014ソスN12ソスソス25ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

December 25122014

 犬の眉生まれてきたるクリスマス

                           岡田由季

リスマスは人間を救済するため人の子の姿を借りて神の子キリストが生まれたことを祝う日であるが、もはやサンタとケーキとプレゼント交換が目的の日になってしまった。本来の意義を感じつつこの日を迎えるのはクリスチャンぐらいだろう。掲句では生まれたての子犬のふわふわした顔にうっすらと眉毛のような濃い毛が生えてきたのだろう。かすかな兆候を「生まれる」と形容しクリスマスに重ねたことで、それを発見したときの初々しい喜びが伝わってくる。暖かな子犬を抱き上げてうっすらと眉が生えてきたように見える額のあたりを指の腹でなでてみる。その下に輝く子犬の瞳は不思議そうに飼い主を見つめていることだろう。新しく生まれてくるものを迎えるクリスマスにふさわしい一句であると思う。『犬の眉』(2014)所収。(三宅やよい)


December 24122014

 地上の灯天上の星やクリスマス

                           千家元麿

夜はクリスマス・イブ。とは言え、当方には格別何もない、何もしない。夕食にワインをゆっくり楽しむくらい。ツリーもターキーも関係ない。関連するテレビ番組のチャラチャラしたバカ騒ぎが邪魔臭いだけだ。「地上の灯」つまりイルミネーションは、クリスマスから始まったと思われるが、近年は12月に入ると、町並みのあちこちで派手なイルミネーションが、キリスト様と関係なくパチクリし始める。クリスマスというよりも、年末商戦がらみの風物詩となってしまった観がある。ノーベル賞受賞はともかく、経済的に有利なLEDの普及と関係があるらしい。今や「天上の星」は「地上の灯」のにぎわいに圧倒され、驚きあきれて夜通しパチクリしているのではあるまいか。掲出句における「地上」と「天上」は、まだ程よくバランスがとれていた時代のクリスマス・イブであろう。近年は「昼に負けない都会の夜の明かるさ」と嘆く声も聞こえてくる。過剰で危険な発電に強引に突っ走るのではなく、夜は星明かりをしみじみ楽しむゆとりをもちたいものである。元麿には、他に「春寒き風の動かす障子かな」がある。『文人俳句歳時記』(1969)所収。(八木忠栄)


December 23122014

 どろどろのマグマの上のかたき冬

                           水岩 瞳

グマといえば、噴火で流れ出た溶岩を思うが、本来は地下の深部にあるもの。あらためて地球の内部構造の解説を見てみると、今から約46億年前に誕生して以来、地球はマグマの海に覆われ、そののちゆっくりと表面が固まったと説明されている。地球の直径は1万km以上で、人間が掘ったもっとも深い穴は10kmほどというのだから、地球の内部のほとんどを人間はまだ見ていないことになる。宇宙も神秘だが、地中も神秘に満ちている。地球の薄皮一枚の地表の上で、冬が来たと右往左往する人間がことさらが愛おしく思えるのである。〈この道の草に生まれて草の花〉〈円かなる月の単純愛すかな〉『薔薇模様』(2014)所収。(土肥あき子)




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