神戸大震災の追悼番組を見ながら、戦災のことをしきりに思った。(哲




2015ソスN1ソスソス18ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

January 1812015

 霜百里舟中に我月を領す

                           与謝蕪村

筆句帳にある安永四年(1775)、六十歳の作。前書に、「淀の夜船 几董と浪花より帰さ(ママ)」とあり、淀川の夜舟に乗って大阪から京へ帰ってくる途中の句です。実景に身を置きながら、舟中の流れは、そのまま漢詩の世界に辿りつくようなつくりになっています。淀川の両岸は霜が降りて白く、舟は月光が反射する川の流れをゆっくりと遡上しています。見上げれば岸辺の樹木の葉は落ち、枯れ枝ゆえ空は広く、我(われ)と月とを遮る物は何もありません。今、我は月を独り占めしている。いい酒に酔って、詩想を得たのかもしれません。李白の『静夜思』に、「床前月光をみる。疑うらくはこれ地上の霜かと」があり、また、『つとに白帝城を発す』に、「軽舟すでに 過ぐ万重の山」があります。蕪村は、これらに類する漢詩文を踏まえて、掛軸のような一句を創作したのかもしれません。『蕪村全句集』(おうふう・2000)所収。(小笠原高志)


January 1712015

 寒いからみんなが凛々しかりにけり

                           後藤比奈夫

かに、暑さにたるみ切った姿より寒さに立ち向かう姿の方がきりりと引き締まっている。それにしても前半の口語調と後半の、かりにけり、とのアンバランスが得も言われぬ印象を与える掲出句だが、既刊十句集から三百八十句を選って纏められた句集『心の花』(2006)の中にあった。そしてこの二句後に<一月十七日思ひても思ひても >。作者は神戸在住。思えば寒中、寒さの最も厳しい時に起こった阪神淡路大震災である。寒さは何年経ってもその時を思い出させるのかもしれないが、この句の肉声にも似た口語調と、凛々しかりにけり、にこめられた深く強い思いに励まされるような気がしてくる、二十年目の今日である。(今井肖子)


January 1612015

 弄ぶ恋があるらし温め鳥

                           平林恵子

め鳥は一つには、親鳥がひなを羽の下に抱いて温めるそのひなの事。母の想い出には抱かれた日の温かき懐の記憶がある。温め鳥のもう一つには冬の寒い夜、鷹が小鳥を捕らえて掴かんで足を温めるその小鳥の事を言う、翌朝には放すらしい。揚句の場合は後者の鷹に弄ばれた小鳥のほうだろうか。恋は片想い専門の小生であるが一度は弄ばれてみたかった、いや面目ない。他に<山の子が海の子へ振る夏帽子><十六夜や兎の型に切る林檎><東京の大坂小坂金木犀>など。『チョコレート口に小春日臨時列車』(2005)所収。(藤嶋 務)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます