January 192015
葉牡丹の飽きたる渦となりにけり
有原正子
ひところまでは、てっきり西洋からの伝来種だと思っていたが、純粋に日本で開発された「花」だった。結球しない古い品種のキャベツが主に観賞用として栽培されるうち、品種改良されたと見られている。冬で花の少ない時期に、葉っぱを「花」に見立てるとは、さすがにやりくり上手な日本人の智慧だと感心はする。が、やはり「花」ではない哀しさ。色合いもくすんでいて地味だから、私などははじめから飽きていると言ってもよいほどだ。作者は何日かは楽しんだようだが、あまりの変化のなさに、だんだん食傷気味になってしまったのだろう。品種によっては違うのかもしれないが、句は似是非「牡丹」の基本的様相をうまく捉えている。『現代俳句歳時記・冬、新年』(2004・学習研究社)所載。(清水哲男)
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