大寒の悪夢。首相の中東訪問がきっかけにとんでもない脅迫が…。(哲




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January 2112015

 冬銀河男女黙せるまま老いぬ

                           橋本真理

人同士、あるいは若い夫婦なら向き合ってよくしゃべる。けれども一般的に、年齢とともに会話は少なくなっていくケースが多い。あるレストランで、中年の男女が活発によくしゃべっている。それを遠くから見ている人が連れの人に言う。「ふたりは夫婦じゃないな」「どうして?」「夫婦だったら、あんなによくしゃべらない」ーーというくだりがある小説を読んだことがあり、ナルホドと感心したものである。例外はもちろんあるだろうけれど、夫婦の会話は年齢とともにどうしても減ってくる。ま、「要用のみにて失礼します」というわけだ。掲出句の「男女」は夫婦なのかも知れない。会話は減ってきても、冬の夜空をまたいでいる銀河だけは相変わらず冴えわたっている。そこに黙せる男女を配置したことによって、冬銀河がいっそう冴え冴えと見えてくる。「黙せるまま」と言っても、二人とも特に仲が悪いわけではない。むしろ自然体なのであって、両者に格別の不満があるわけではないのだろう。「冬銀河」と「老い」とが鮮やかな対比を示しているところに注目したい。作者の句は他に「蝶凍てて夢の半ばも夢の果て」がある。「長帽子」76号(2014)所収。(八木忠栄)


January 2012015

 このあたり星の溜り場穴施行

                           酒井和子

施行(あなせぎょう)とは、餌が乏しくなる寒中に鳥や獣に食べものを施す習俗。寒施行、野施行ともいい、三升三合三勺の米を炊いて作った小さな握り飯を獣が出入りしそうな洞の前や大樹の根方などに置く。翌朝、食べものがなくなっていると豊作になると言われるが、この習俗は吉兆占いというより、ときに害獣となる敵であっても、この地に生きるものとして寒さや飢えを思いやる気持ちが勝っているように思われる。凍るような空に満天の星がひとところかたまり灯っているのも身を寄せ合っているようにも思え、また、この冬に命を落とした生きものたちがまたたいているようにも見え、その明るさに胸がしめつけられる。〈紙子着てわがむらぎものありどころ〉〈水仙の木戸より嫁ぎゆきにけり〉『花樹』(2014)所収。(土肥あき子)


January 1912015

 葉牡丹の飽きたる渦となりにけり

                           有原正子

ところまでは、てっきり西洋からの伝来種だと思っていたが、純粋に日本で開発された「花」だった。結球しない古い品種のキャベツが主に観賞用として栽培されるうち、品種改良されたと見られている。冬で花の少ない時期に、葉っぱを「花」に見立てるとは、さすがにやりくり上手な日本人の智慧だと感心はする。が、やはり「花」ではない哀しさ。色合いもくすんでいて地味だから、私などははじめから飽きていると言ってもよいほどだ。作者は何日かは楽しんだようだが、あまりの変化のなさに、だんだん食傷気味になってしまったのだろう。品種によっては違うのかもしれないが、句は似是非「牡丹」の基本的様相をうまく捉えている。『現代俳句歳時記・冬、新年』(2004・学習研究社)所載。(清水哲男)




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