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February 1622015

 子の家に居ても旅びと春浅し

                           石原フサ

節は多少違うが、小津安二郎の映画「東京物語」を思い出した。尾道で暮らす老夫婦が、成人して東京に出ている子どもたちの家を訪ねていく物語だ。別に邪険にされるわけではないが、何とない居心地の悪さを感じる旅なのだった。老父である笠智衆が東京の酒場で知り合いに会い、医者になっている長男のことを「羨ましい」と褒められると、毅然としていいかえす。「医者といっても町医者じゃ。私は不満じゃ。じゃけど、子どもにそう思うたら、いけん。そう思うのは親の欲目というもんじゃ」。ここにきて、人の子である観客は誰しもがほっとするわけだが、映画は親子のギクシャクとした関係をそのままに終わっていく。まだ少し寒さの残る早春の候に、家族関係を詠みこんだ巧さに膝を打った。『現代俳句歳時記 春』(2004・学習研究社)所載。(清水哲男)




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