April 082015
春の旅おまけのような舟に乗り
平田俊子
異業詩交流歌会句会という集まりの「エフーディの会」がある。そのメンバーのうち女性ばかり六人が、昨年4月に四国へ二日間の吟行に出かけたらしい。俊子もその一人。吟行というものはそもそも楽しい催しだが、詩・短歌・俳句・小説の錚々たる女性ばかり六人が寄ってたかって……となれば、さぞかし……と推察される。掲出句は、その折に俊子が「いよいよ伊予2」と題して後日発表した九句のうちの一句。(彼女は「いよいよ伊予1」と題して、短歌六首も同時に発表している。)御一行の「春の旅」は、かしましくも華やいでいたことだろう。俊子の短歌には「男らの悪口いえば女らの旅の車内はいよよ華やぐ」という一首がある。なるほど、さぞや! 「おまけのような舟」がこの句のポイントだが、東直子のレポートによれば、ごく幅のせまい川を小舟で所要数分、タダで渡ったらしいから、ご立派ではなくていかにも「おまけ」ほどの舟だったのだろう。そこにかえって、春にふさわしい彼女たちのにぎやかな吟行の様子が見えてくる。「おまけ」がうれしくも、つかの間の舟旅だったにちがいない。俊子の他の句「細首に薄きもの巻く春の旅」が可憐(?)である。「エフーディ」1号(2014)所載。(八木忠栄)
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