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June 2662015

 青葉木莵沼に伝説ありにけり

                           高木加津子

に棲む青葉木莵それに沼とくれば伝説の一つや二つはありそうである。私の住む柏市の手賀沼にも数々の伝説がある。藤姫伝説という悲恋物語は沼の遊歩道に石碑となって今も残っている。河童伝説などは水上での生業に明け暮れすれば水に命を落とす者が多くそれに纏わって河童なるものを生み出したのだろう。往時手賀沼も鬱蒼たる樹林や田畑に囲まれていた。青葉木莵などの生息地には今野鳥博物館があり剥製が飾ってある。沼の中にはおおらかに河童の像が遊んでいる。他に<濃あぢさゐ滲んで葉書届きをり><ため息のごとく蛍の点りけり><青鬼灯秘めたる夢を語り初む>など。俳誌「百鳥」(2012年10月号)所載。(藤嶋 務)


June 2562015

 飲み干して重くなりたるビアジョッキ

                           平石和美

ールがおいしい季節になった。仕事が終わり「ちょっと飲みに行こうか」と誘われてのまずは最初の一杯。本当に生きていてよかった、と思う瞬間でもある。家だと小さい缶を一本空けるにも持て余し気味なのに、外で飲むとビアジョッキ2杯ぐらいは軽くいけてしまうのはなぜだろう?残り少なくなったビールを飲み干したあと、それまでは軽々と持ち上げていたビアジョッキが右手にずしんと重くなる。空になっているはずなのに…。書かれて初めて気づく感覚もある。このように微妙な勘どころを押させて表現するのは俳句の得意とするところ。この季節ビアジョッキでビールを空けるたび、この句が頭をかけめぐりそうである、『蜜豆』(2014)所収。(三宅やよい)


June 2462015

 母恋ひの舳倉(へくら)は遠く梅雨に入る

                           水上 勉

登半島の先端輪島の沖合に舳倉島はある。周囲5キロの小さな島である。一般にはあまり知られていないと思われる。近年は定住者もあり、アワビ、サザエ、ワカメ漁がさかんで、海士の拠点になっているという。野鳥観察のメッカとも言われるから、知る人ぞ知る小島である。私はもう40年ほど前に能登半島を一人旅したとき、輪島の浜から島を眺望したことがあった。鳥がたくさん飛び交っていた。作者は「雁の寺」や「越前竹人形」「越後つついし親不知」などで知られているが、母恋物を得意とした。梅雨の時季に淋しい輪島の浜にたたずんで、雨にけむる舳倉島をじっと眺めて感慨にふけっている様子が見えてくる。「母恋ひの舳倉」の暗さは、心憎いほどこの作家らしく決まっている俳句である。母への愛着恋着は時代の変遷にかかわりはあるまいけれど、「母恋ひ」などという言葉は近ごろ聞かれなくなった。作者には似た句で、他に「母恋ひの若狭は遠し雁の旅」がある。『文人俳句歳時記』(1969)所収。(八木忠栄)




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