大気の不安定が異常につづく。人心にも影響が……。(哲




2015ソスN6ソスソス28ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

June 2862015

 この街に生くべく日傘購ひにけり

                           西村和子

がスタートしています。前向きな明るさに、元気をいただきました。作者は横浜育ちのようですが、たぶんご主人の仕事の都合で大阪の暮らしが始まったのでしょう。句集には「上げ潮の香や大阪の夏が来る」「大阪の暑に試さるる思ひかな」があり、そのように推察します。「生くべく」で語調も強く意志を示し、「購(か)ひにけり」で行動をきっぱり切る。動詞を二語、助動詞を三語使用しているところにこの句の能動性が表れています。それにしても「日傘購ひ」は、男にはほとんどない季語の使い方で、いいですね。素敵な日傘を購入したことでしょう。句集では「羅(うすもの)のなよやかに我を通さるる」が続き、大阪の街を白い日傘をさして、女性らしい張りをもって歩く姿を読みとります。『かりそめならず』(1993)所収。(小笠原高志)


June 2762015

 茄子漬の色移りたる卵焼

                           藤井あかり

供の頃から茄子の漬物が好きだった。糠漬けの茄子は、祖父母、父母、妹との六人家族時代、祖母と二人だけの好物で、よく台所の片隅でこそこそ食べた。その頃紫陽花の花を見て、茄子の漬物みたいな色だよね、と母に言って、あなたは俳句には向いていないわね、と言われたことも思い出す。あの美しい茄子色も、卵焼きに移ってしまうとやや残念ではあるが、黄色い卵焼きを染めてしまった茄子漬の紫がどれだけ鮮やかか、ということがよくわかる。そして、お弁当箱を開いた時の、あ、というこんな瞬間も俳句にしてしまう作者は今まさに、眼中のもの皆俳句、なのだろう。〈足元の草暮れてゆく端居かな〉〈万緑やきらりと窓の閉まりたる〉〈遥かなるところに我や蝉時雨〉。『封緘』(2015)所収。(今井肖子)


June 2662015

 青葉木莵沼に伝説ありにけり

                           高木加津子

に棲む青葉木莵それに沼とくれば伝説の一つや二つはありそうである。私の住む柏市の手賀沼にも数々の伝説がある。藤姫伝説という悲恋物語は沼の遊歩道に石碑となって今も残っている。河童伝説などは水上での生業に明け暮れすれば水に命を落とす者が多くそれに纏わって河童なるものを生み出したのだろう。往時手賀沼も鬱蒼たる樹林や田畑に囲まれていた。青葉木莵などの生息地には今野鳥博物館があり剥製が飾ってある。沼の中にはおおらかに河童の像が遊んでいる。他に<濃あぢさゐ滲んで葉書届きをり><ため息のごとく蛍の点りけり><青鬼灯秘めたる夢を語り初む>など。俳誌「百鳥」(2012年10月号)所載。(藤嶋 務)




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