July 072015
べうべうと啼きて銀河の濃くありぬ
小林すみれ
べうべう(びょうびょう)は江戸期まで使われていた犬の鳴き声。動物や鳥の鳴き声の擬音は国により様々だが、時代によっても異なる。現在使われる「ワン」は従順で快活な飼い犬の声にふさわしく、「びょう」は野犬が喉を細くして遠吠えする姿が浮かぶ。今夜は七夕。天の川に年に一度だけカササギの橋がかかり、織り姫と彦星の逢瀬が叶う。このたびあれこれ調べるなかで「彦星」が「犬飼星」の和名を持つことを知った。今夜聞こえる遠吠えはすべて、いにしえの主人を慕う忠犬たちのエールにも思えてくる。〈開けられぬ抽斗ひとつ天の川〉〈バレンタインデー父をはげます日となりぬ〉『星のなまへ』(2015)所収。(土肥あき子)
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