宿題に追いつめられた子供時代。結局、やらなかったけど。(哲




2015ソスN8ソスソス30ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

August 3082015

 遠浅や月にちらばる涼舟

                           村上鬼城

浅の海が、一枚の扇のように広がっています。その中心には月が光り、幾艘かの納涼舟がちらばっています。納涼の舟遊びの客たちは、お月見を先取りしているのでしょうか。それとも、花火とは違った夏の夜空を楽しんでいるのでしょうか。おだやかな波に揺られ舟べりに当たる波音を聞きながら、涼風を受けています。しかし、そんな風情を想像しながら眺める作者の視点は、海岸から見た情景です。満月なら、遠浅の海は凪のさざ波に月光が広がっていて、月の光の波の上に幾艘かの納涼舟がちらばっているだけです。天空の月と、海面上の月光に点在する涼舟。一枚の扇の絵のようです。なお、季語は「涼舟(すずみぶね) 」で夏ですが、「月」に秋を予感します。『定本鬼城句集』(1940)所収。(小笠原高志)


August 2982015

 真つ直ぐに闇を上つてゆく花火

                           岸田祐子

見何ということのない句だが、打ち上げられてから花開くまでのわずかな時間を見つめている、作者を含めた多くの花火見の人々の緊張感がうまく表現されている。虚子の句に〈空に伸ぶ花火の途の曲りつゝ 〉があり、実際は微妙に揺らぎながら上っていくが、真っ直ぐ、の語の勢いが読み手に大輪の花火の輝きと全身に響く音の爽快感を感じさせる。八月も終盤、七月に始まったそちこちの花火大会ももう終わりだなと関東の花火大会を検索すると意外にも、九月、十月と結構予定されている。確かに空気が澄んできてくっきり見えるのかもしれないが、なんとなく気持ちがのらないような気がするがどうなのだろう。『南日俳壇』(「南日本新聞」2015年8月27日付)所載。(今井肖子)


August 2882015

 蕗を負ふ母娘の下山夜鷹鳴く

                           皆吉爽雨

鷹は別名蚊吸鳥といって夜行性で夕刻から活動して飛びながら蚊や蛾などの昆虫を捕食する。その鳴き声はキョッキヨッキョッと忙しく、一種凄みのある鳴き方である。蕗は山では沢や斜面、河川の中洲や川岸、林の際などで多く見られる。郊外でも河川の土手や用水路の周辺に見られ、水が豊富で風があまり強くない土地を好み繁殖する。蕗は山菜として独特の香りがある薹や葉柄、葉を食用とする。蕗の薹は蕾の状態で採取したものを、天ぷらや煮物・味噌汁・蕗味噌に調理して食べられる。一般的には花が咲いた状態で食べる事は避けられるが、細かく刻んで油味噌に絡める「蕗味噌」などには利用可能。山村の女性の労働はきついが辛い山の仕事も日常となれば慣れっことなり、蕗摘みの母と娘のお喋りは尽きない。山の夜は早くて恐い。ほうら夜鷹が忙しく鳴き出した。『合本俳句歳時記』(1974・角川書店)所載。(藤嶋 務)




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