ム田T句

November 04112015

 十一月やぎ座と南の魚座のしっぽ

                           飯田香乃

年は小学生や中学生たちがさかんに俳句を作っているから、おじいちゃん・おばあちゃんたちもうかうかしてはいられない。ああでもない、こうでもない、と思案しているうちに、彼らはさらりヒョイと詠んでしまいかねない。香乃さんは酒井弘司の「朱夏」に属している中学二年生。幼稚園の年長さんのときから俳句を始めたという。おじいちゃん(弘司さん)に手ほどきを受けたらしい。あとがきに「私の俳句は、良く言うと大器晩成、悪く言うとなかなか上達しません」とある。やあ、末恐ろしいなあ。「頭にパッと良い句が浮かぶと、ハッピーになります」とも書いている。そのハッピーを経験したくて、大のオトナは四苦八苦しているわけです。でもなかなか……。魚座は晩秋の夕暮れに南中する。とにかく「やぎ」と「魚座のしっぽ」の取り合わせが少女らしく可愛くて、秋の夜空がいっそう美しく感じられる。字余りもこの際元気でいいなあ。他に「柚子風呂の柚子を蹴り蹴り温まる」の句も活発です。『魚座のしっぽ』(2015)所収。(八木忠栄)




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