November 062015
音読の東歌の碑へ紋鶲
関口喜代子
郊外のとある場所に歌碑あり、東歌とある。「つくばねに・ゆきかもふらむ・いなおかも・・・」何やら声を出して歌を読んでいる。百人一首でもないしと耳を傾ける、筑波嶺、ああこれが万葉集か何かに出てきそうな調べ東歌だったのか。と、心も和んで辺りに眼をやれば色鮮やかな小鳥が枝を渡っている。つと歌碑に飛び移ったのを眺めればこれは翼に白い紋を付けた紋鶲であった。いつもこの頃になると同じ縄張りを巡ってくる。ヒッツ、ヒッツと火打石を打つような鳴き声から「火焚き(ビタキ)」と言われるとか。「いとしきころが・にぬほさるかも・・・」の音読に拍子をとるかのように、ヒッツヒッと鳴いて飛び去った。秋も長けた。他に<夫と描く初冠雪の夜明富士><騎馬戦へ太鼓の連打運動会><流木に座して友待つ秋日傘>などあり。俳誌「百鳥」(2015年1月号)所載。(藤嶋 務)
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