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November 19112015

 冬銀河鍵一本の街ぐらし

                           荒井みづえ

会ではなかなか見ることのできない冬銀河であるが、冬はきりっと引き締まった冷気に星の光が一段と輝く季節。掲句では銀河が鍵と響きあって、カチッと回転させる音まで聞こえてきそう。出歩くときは必ず持ち歩く住まいの鍵。一軒家は出るときの戸締りが大変で帰宅してからも何かと防犯の心配がつきないが、マンション暮らしは気楽なもので、分厚いベランダの窓を閉め、スチールのドアを閉めて鍵を回すだけで完了する。密閉性が高いマンションは孤立しやすいともいえるが、街ぐらしの気楽さに孤独はつきものである、一つ一つの星の瞬きが光の帯になる冬銀河と同様に孤独の灯が連なり銀河のようにまたたく都会の冬の夜である。『絵皿』(2015)所収。(三宅やよい)


November 18112015

 秋地獄ぺらぺらまはる風車

                           井口時男

獄とはこの場合、下北半島の霊場恐山を指している。私も二回ほど訪ねたことがある。広い境内には賽の河原と呼ばれる、子ども供養の荒涼たる岩場がある。色とりどりの可愛い風車(かざぐるま)が風を受けて盛んにまわり、小石が積まれ、お菓子が供えられている。供花のかわりに、あちこちに差されたセルロイドの風車が「ぺらぺら」と、どこやらもの悲しく寂しい風情で秋風を受けてまわっているのである。「ぺらぺら」は儚く寂しい響きをこぼしている。ブルーの色鮮やかな宇曽利湖を背景にして、亜硫酸ガスで硫黄臭く、白い岩場が広がる光景が見えてくる。これはこれでこの世の地獄。境内にはひそやかな温泉小屋があって、寒々しさは拭いようがない。イタコによる口寄せも行われている。一度は訪ねてみたい霊場である。句集には「恐山五句」として、掲出句と「口寄せを盗み聴くときすすき揺れ」他がならぶ。文芸批評家の第一句集である。『天來の獨樂』(2015)所収。(八木忠栄)


November 17112015

 たのしくてならぬ雀ら初しぐれ

                           坂本謙二

る日、外出先で猫じゃらしを踏み台にして飛び比べをする4〜5羽の雀を目撃した。遊びに夢中でしばらく私が見ていることにも気づかぬ様子で、ピチピチと鳴き声をあげながら、順番に猫じゃらしに飛び移る。ああ、その頃スマホがあればこっそり動画を撮っていたのに、と悔やんでいた。しかし掲句を見て、そんな機会はたびたび訪れるのかもしれないと思い直した。欣喜雀躍という言葉もあるではないか。私事ながら先日引越しをして、多摩川の堤を散策するのが日課となった。遊び好きの雀たちに会える日も近いような気がする。『良弁杉』(2015)所収。(土肥あき子)




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