December 292015
一日の終ひの寝息蜜柑剥く
富樫 均
寝息はもちろん作者のものではなく、家族の誰かのもの。おそらく、子どもの健やかな寝息を確認したあとの、夫婦におとずれた心休まる時間だろう。蜜柑の清冽な香りと、元気や活気を感じさせる色彩が、家族とともに今、幸せなひとこまを過ごしていることを実感する。今年もあと数日。一日のおしまいが、一年のおしまいとなる日も近い。おだやかな一年を過ごせたことに感謝しつつ、またひとつ蜜柑に爪を立て、幸せな時間を堪能する。『風に鹿』(2006)所収。(土肥あき子)
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