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April 1642016

 春月の病めるが如く黄なるかな

                           松本たかし

しづつ月が育っている今週の初め、寝室の窓から細く黄色い月が西の空に見えた。ぼんやりとしたその月はどこか妖しい黄色で、ただ朧月というのもなんか違うなあとしばらく見ていたが、ぴったりする言葉も思いつかず寝てしまった。『ホトトギス雑詠選集 春の部』(1987・朝日新聞社)の中に掲出句を見た時、病めるが如く、とはなるほど言い得て妙な表現だと納得した。普通は月を見て、病む、という言葉はなかなか出てこない。やはり四季折々親しく見上げる月だからこそ、見る者の心情や境涯が自ずと映し出されるのかもしれない。生涯病がちだった作者はこの時、どんな心持で春月を仰いでいたのだろうか。(今井肖子)


April 1542016

 よく遊ぶ目白やわが影置き忘れ

                           谷中隆子

の周りが白い輪っかになっているので目白。体は鶯色を少し明るくした感じの緑色である。留鳥で市街地でも普通に見かける。雀より心持小さ目な体でちょこまかと枝から枝へ遊んでいる。今いたと思うとそこにはもう居ない。いないのだが移動が速いので残像だけが残されている。よくこう夢中で遊べるなと感心する、とともにふと自分がこれほど夢中に遊べたのは最後はいつだったかと遠い目になる。この目白のように影諸共に自分を忘れて遊んでみたいものだとも思う。もう一度一心不乱遊べるようになれるだろうか、なりたいがなれそうもない。その他<梅を見に爆弾おにぎりひとつ持ち><桃の昼空の無辺をふと怖る><貝の殻壜に眠らす春嵐>などなど。「俳壇」(2013年5月号)所載。(藤嶋 務)


April 1442016

 菜種梅雨男は黙って風呂掃除

                           山本たくや

種梅雨は菜の花の咲くころにしとしと降る雨をさすのだから春雨と言い換えてもいいだろうか。例句をみると、しっとりと情緒ある雨との取り合わせを意識した句が多いように思われる。「男は黙って」とくると次に来る言葉は「サッポロビール」で、「男なら四の五の言わずに、、、」という価値観を含んでいるのだろうけど、それが「風呂掃除」なのだから面白い。男が黙ってビールを飲んでいられる時代は終わったのである。若いカップルが働いて生活していこうと思えば家事も育児も協力してやるのが前提。現代的風景を描き出したフレーズと菜種梅雨との取り合わせも軽快でとてもいい。『関西俳句なう』(2015)所載。(三宅やよい)




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