秘やかな朝

　詩集　

　著者=山崎　佳代子（やまさき　かよこ）　
　　装画=ヴラディミル・ドゥニッチ

むかしむかし……ふりやまぬ鉄の雨のなかで荒れはてた庭について語った。
こどもたちを運ぶ舟は、岸辺になにかを語りかけ、
――なにもかも捨ててここにおいで――おし黙って霧のなかを往った。
それから、それから……
かなたに、小さな命のめざめる声をきいた。たしかに。
いくたびめのことだろうか、野の草花がまた萌え出る。
緑の大地に背をあずけ、うまれてくるものの秘やかな鼓動を感じている。
この朝、世界はこれまでになく透きとおる。

　2004年9月10日初版第一刷　発行　　A5変（195×138）　158ページ　
　定価2860円　(本体2600円)　ISBN978-4-87995-617-0 C1092 \2600E

`罪なきものたち`		14

`ARBOS`
`ARBOS`		18
`水際にて`		20
`たとえば水についてわたしはあなたに語りたかった`		22
`十一月、遅すぎた雨がおとずれ…`		24
`水紋`		26
`情景B`		28
`思いがけない海`		30
`はじめての朝`		32
`ペルシャ猫`		34
`あたたかな家`		36
`眠るおくりもの`		38
`いざない`		40
`蒼穹`		42
`舟のある情景`		44
`HEKATE、夏の終わり`		46
`夏の家`		48
`ORBONA、昇天`		52
`夢あるいは記憶`		56
`僕がいちばんすきな情景`		58
`魚、あるいは井戸のある庭`		60
`さいごのおくりもの`		62
`苦い草`		64
`冬の家`		68
`警告`		70
`終着駅B`		72

`遠い水の物語`
`そして、言葉はからだになった`		70
`茶色のおとぎばなし`		78
`物語はここからはじまり`		82
`うたのゆくさき`		86

`黒テントにとどけられた冬の図`
`唄は村祭りを遠ざかり`		90
`木橋はここで途絶え`
`廃船とドラム缶のある冬の情景`		96

`あどけない帰郷`
`厳冬を軍艦は出てゆき`		102
`三月の岸に棄てられたものに`		104
`瑠璃の池`		108
`あどけない帰郷`		110
`戒厳令、ちぎられた風景`		114
`あまりにも機械的な出帆`		118
`大きな松のかたわらにバスをとめ`		120
`あたたかい秋はここで終わり`		122

`産立ち`
`産立ち`		126
`水はしずかに`		128
`夏、ひそやかな`		130
`残照B`		132

`舟もなく`
`うたはそこに記され`		138
`一の瀬川の伝説`		140
`水婚`		144
`小石、ことり、こどものいた夢`		148

`*`
`壁、太陽とこどものある情景`		152

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