2001年度書籍目録

(全部で33冊)

るしおる　45　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　84ページ　　2001年12月31日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-535-7 C1392 \1000E

わが祝日に　新延　拳　
　　跋=高橋　睦郎　装幀=亞令　口絵=ヘンドリック・コルネリスゾーン・ファン・フリート
　　A5変（196×138）　126ページ　　2001年12月15日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-534-0 C1092 \2500E

思い出はいつも夕焼けの中…
…この後に瑠璃色の宵がくるのだ
思うに作者は最愛の母を失うことによって過去をふり返り過去を語る地点に立った。（…）過去の美しかりし日日は祝日となった。（…）ふり返り語る時間も祝別された時間になった/高橋睦郎　第27回地球賞、第1回詩と創造賞受賞

対論◆彫刻空間　物質と思考　　りぶるどるしおる42　　若林　奮、前田　英樹　
　　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　204ページ　　2001年12月25日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-533-3 C1370 \2500E

表現とは何なのか。表現する人間とは何者なのか。彫刻家若林奮批評家前田英樹による思考の交換。さまざまな角度から、表現・表現行為・表現する人間を見極めようとする、類を見ない試み。美術表現、言葉、思考、物質、ラスコー壁画・セザンヌ・マチス・ジャコメッティ、自然、そして人間について。

太陽の場所　りぶるどるしおる44　　イヴァン・ジダーノフ/訳=たなか　あきみつ　
　　装幀=亞令
　　菊変（220×220）　188ページ　　2001年11月25日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-532-6 C1398 \2500E

路上には誰もいない: 万象もなし、神もなし――光線だけだ　ジダーノフ　世界の縁を切り裂く　われわれはいったい何者なのだろうか、われわれはどこからおのれについて知るのだろうか。そしてわたしの心にひそんでいるものは、心の域外にも存在すべきであろうか。

おりこうさんのキャシィ　長田　典子　
　　写真=普後　均
　　A5変略フランス装（195×138）　136ページ　　2001年11月10日発行　定価2420円　(本体2200円)　ISBN978-4-87995-531-9 C1092 \2200E

わたしは、今、ここにいる。どこにいるのかわかっている。なのに、どう声を発てればよいのか――この、今のわたしについて。第34回横浜詩人会賞受賞

空のマチエール　松浦　成友　
　　装幀=亞令
　　四六　100ページ　　2001年11月15日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-526-5 C1092 \2000E

E/T　りぶるどるしおる41　　岡井　隆　
　　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　164ページ　　2001年10月25日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-530-2 C1092 \2000E

白き人はかなしみのうへに坐りをり「覗き込んでは嫌」しづかなり　岡井隆　書き下ろし、百首。妻は、一番近いところに居る〈他者〉だが、由来、謎ぶかいことで知られる。夫から、年がはなれてゐる「若い妻」をモデルにして歌を書いた。苦しい作業だったとみえて夜々にみる夢はさんざんに乱れた。

雪やまず　八木　忠栄　
　　跋文=小沢　信男　帯=大岡　信　装画=若林　奮
　　B6変（182×118　152ページ　　2001年10月9日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-529-6 C1092 \2500E

忠栄が還暦を期して句集を編む。句歴およそ十年、意外なほど多い佳句。めでたい。越後生まれの男は、東京の雑踏でねばり強く生きるが、日本海の木枯らしと鮟鱇鍋は彼の臍下丹田に、ふるさとと、ちちはは恋いしの抒情を育んだ。そしてもちろん冬の抒情を。寄席好きの噺家好き、女房・息子・娘への自然にあふれる愛憐。忠栄よ、照れずに屁までも詠める男の、新たな誕生を祝う。――大岡信

島幻記　粒来　哲蔵　
　　装幀=菊地　信義
　　菊変（220×140）　120ページ　　2001年10月15日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-528-9 C1092 \2800E

問うこと。問うことで意味を招き寄せること。まるで海鳥を招く手振りで、島語を少し波立たせながら……。第20回現代詩人賞受賞

Ver.μの囁き　辻　和人　
　　カバー写真=サイトウ　ノリコ
　　A5変略フランス装（208×130）　128ページ　　2001年10月5日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-523-4 C1092 \2000E

元ヴァージョンなしに降り掛ってくる、ぼくたちの毎日の形。バラバラなんだと気が付くから、合体融合を熱望して、ポロポロだったんだ、と気付くわけ。

蛇行切符　高沢　マキ　
　　装画=細野　透子
　　A5変（208×138）　90ページ　　2001年9月29日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-527-2 C1092 \2500E

ヘビは後へ進むことができない。私たちにもヘビの鱗と同じようなものがあるのだろう。このさびしい昼に、ひとりで前に進むしかない。見えないけれども、空には星がいっぱい出ているはずだ。

死のジグソーパズル　佐藤　和生　
　　装幀=亞令
　　A5変フランス装（208×137）　96ページ　　2001年9月30日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-525-8 C1092 \2500E

人生を完璧に整形するはずのトライ。あらゆるトライ。あきらめのわるい奮闘。すべての砕片をあるべき場に嵌め込むはずの。

胡桃ポインタ　鈴木　志郎康　
　　装画及び手彩色=海老塚　耕一
　　菊変（218×148）　130ページ　　2001年9月25日発行　定価3300円　(本体3000円)　ISBN978-4-87995-524-1 C1092 \3000E

1秒間に10億回足し算する装置の前に坐る男。/男は、どこかゆがんだリズムで、アクセントのねじれた言葉を叩く。/抽象の階段を駆け上り、論理を踏み外す――//カップルが歩いている/そこへ、ひょいっとヒョッジーが現れ/二つのシルエットの間に晩秋の真っ赤な夕日が落ちて行く/てなことになるわけ。/個体と個体の間には、もともと、どうやっても埋まらない隙間が/あるからなあ。/その隙間を活性化するのがヒョッジー。/二人の隙間に落ちる落日はいつも素敵さ、/…………　第32回高見順賞受賞。

海曜日の女たち　阿部　日奈子　
　　装幀=戸田　ツトム
　　菊変（218×142）　136ページ　　2001年9月10日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-521-0 C1092 \2500E

海曜日（うみようび）……初夏の光に梳られて海へゆく日。私たちは関係の波間に漂っている。「もし測定器があるとすれば/女たちの差はミクロン単位に極薄なのだが/だからといって薄ければ薄いほど/誰のことも手放せない」……求めつづけ、与えつづけ、恕しつづけて、海曜日は暮れてゆく。第32回高見順賞受賞

恢復期　高橋　睦郎　
　　装幀=半澤　潤　口絵デッサン=高橋　睦郎
　　A5変函入（195×138）　104ページ　　2001年8月31日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-522-7 C1092 \2800E

新千年紀、新世紀、そして第一年二〇〇一年を、とりあえず恢復期と考えることにしよう。人間という逃れられぬ病いからの恢復期。言葉がそのための薬だったらいいなあ。

るしおる　44　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　66ページ　　2001年8月31日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-520-3 C1392 \1000E

それぞれに　鈴木　啓介　
　　装幀=菊地　信義
　　A5変（195×138）　94ページ　　2001年8月15日発行　ISBN978-4-87995-519-7 C1092 \2500E

行き方はみんなちがっている。それぞれに、どこかへ行く。どこかはわからない。散らばっているものを整頓するような具合にははこばないのだろう。

薔薇、見知らぬ国　山崎　佳代子　
　　装画=ミラン・トゥツォビッチ
　　A5変（194×138）　102ページ　　2001年8月10日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-518-0 C1092 \2500E

ある日…次の日、そしてまた次の日、闇の中で目を見開いていた私の前に光の朝空がひろがるはずだった。しかし、来る日ごと、空は黒い怪鳥たちにおおわれる。空爆下のベオグラード。希望と絶望、そして多くの隣人たち、子供たち。祈りのきわみに、なお紡がれる言葉の雫たち。

アンチゴネ　りぶるどるしおる43　　アンリ・ボーショー/訳=宮原　庸太郎　
　　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　477ページ　　2001年7月25日発行　定価3300円　(本体3000円)　ISBN978-4-87995-517-3 C1397 \3000E

人は、人々は、何によって動くのか。ボーショーは想う、かれらは未来を創る、未来こそがかれを叛逆させる。無法不当な現実を前に、愛と考察によって断然と一つの現在を選択する。その現在が呼び出す未来の背叛、思いおよばぬ悲惨にもかかわらず……私達はそれを繰り返す。

予感　松沢　桃　
　　A5変（188×148）　98ページ　　2001年7月7日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-516-6 C1092 \2000E

こおんとけった石くれがまっすぐな道をころがった　いくつかのわかれ、永訣――そして、ふたたび生きることをめぐる、ためらいがちな、しかしたしかな力を秘めた歩行

イブシャンモゲール　森本　承子　
　　カバーコラージュ=森本　承子
　　A5変（209×138）　98ページ　　2001年6月30日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-515-9 C1092 \2500E

イブシャンモゲール――誰なんだろう…銀河の底の光波にわたしの中のうつろが感応した時ふいにゆらぎ出る煙のような芽立ちの音。あなたとわたしを繋ぐ未完の扉。

夢々忘るる勿れ　高柳　誠　
　　装画=三嶋　典東　装幀=亞令
　　菊変（220×1４０）　128ページ　　2001年6月20日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-514-2 C1092 \2800E

寓話？　小説？　詩？　それとも夢？　《ああ　あなたは夢を見ていたんですよ》――そうだろうか。一体誰が真実の語り部なのだ。ある時、とつぜん、何事かが了解され、すべてが私を呑み込んで大展開する。

金木犀の焔　枝川　里恵　
　　装幀=亞令
　　A5変（210×140）　121ページ　　2001年5月31日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-513-5 C1092 \2000E

二つの市場、ふたたび　りぶるどるしおる39　　関口　涼子　
　　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　90ページ　　2001年5月30日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-512-8 C1392 \2000E

小さい生きものと剛腕のものが行き交う市場。そこで交される言葉は、一度一度の性愛に似て、関係でありながら、関係の輪郭を曖昧にする。関口涼子のさまよう視線。

るしおる　43　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　78ページ　　2001年5月15日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-511-1 C1392 \1000E

伊藤聚詩集成　詩集成シリーズ　　伊藤　聚　
　　装画=伊藤　聚　装幀=亞令
　　四六　608ページ　　2001年4月25日発行　定価8250円　(本体7500円)　ISBN978-4-87995-510-4 C1092 \7500E

脱臼する言語がとらえる脱出不可能な大氾濫世界。遠い星から届くかすかな光のふるえ。そして、存在することへの消しがたい悔恨。

立ちどまって　李　禹煥　
　　栞=高橋　睦郎　
　　A5　224ページ　　2001年4月25日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-508-1 C1092 \2800E

20世紀末から21世紀初めにかけての詩を書く、あるいは詩を読む場は、どこにあるのだろうか。そのきわめて目覚ましいヒントの一つが、2000年までに書かれ2001年に上梓される李禹煥詩集『立ちどまって』である。（…）それは李禹煥の特殊性ではない。現代に生きている者はすべて真の意味で祖国を持たず、自分を自分たらしめているものを捜しつづけている。そのことの覚者としての李禹煥の作品は、絵も、詩も、つき抜けて明るく、どこか澄んだ笑いをひびかせている。――高橋睦郎

アンチピリン氏はじめて天空冒険　トリスタン・ツァラの作品★★★★★★★　　トリスタン・ツァラ/訳=宮原　庸太郎　
　　菊変（218×128）　296ページ　　2001年3月30日発行　定価3850円　(本体3500円)　ISBN978-4-87995-507-4 C1398 \3500E

世界のでんぐりがえり―ダダは何も意味しない。近代文明に唾する諧謔と冷笑。
風　心　水　光の慄え/苦しみは　青い遠い虚無から生まれたわたしの娘/わたしの頭はホテルの箪笥のように空っぽ//そしてわたしたちはみんなバカモン//そしておまえたちはみんなバカモン//空に繃帯/地にバカモン/天に処女のむれ

窓辺のガリバー　三橋　洋子　
　　装画=矢野　静明
　　A5函入2分冊　102+89ページ　　2001年3月5日発行　定価3300円　(本体3000円)　

るしおる　42　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　76ページ　　2001年1月15日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-504-3 C1392 \1000E

貨物船句集　辻+　征夫　
　　跋文=小沢　信男　帯=清水　哲男　装幀=亞令
　　四六変略フランス装（172×105）　90ページ　　2001年1月10日発行　定価1650円　(本体1500円)　ISBN978-4-87995-503-6 C1092 \1500E

貨物船――これは2000年1月に急逝した詩人・辻征夫の俳号である。〈満月や大人になってもついてくる〉。翼を傷だらけにしながらも詩の宇宙を翔びつづけた辻征夫のもう一つの世界。

+点1つではなく2つ

物質の政治学　バタイユ・マテリアリストII　　りぶるどるしおる37　　ジョルジュ・バタイユ、吉田　裕　
　　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　259ページ　　2001年1月30日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-502-9 C1310 \2500E

現実に立ち戻ること、下劣なことがらに、眼をかっと見開きながら、叫び出さんばかりに魅惑されること。ちょうど足の親指に眼を寄せて大きく見開くように。バタイユ
美的なもの・秩序だったもの・合理的なものを排して、折り合うことのできない他者との遭遇を現実の運動の中で体験する。ファシスム批判を中心に。

異質学の試み　バタイユ・マテリアリストI　　りぶるどるしおる36　　ジョルジュ・バタイユ、吉田　裕　
　　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　305ページ　　2001年1月30日発行　定価3300円　(本体3000円)　ISBN978-4-87995-501-2 C1310 \3000E

私は娼婦がドレスを脱ぐようにしてものを考える。その運動の頂点で、思考は破廉恥さそのもの、猥雑さそのものだ。バタイユ
どこまでも地上・地下にとどまる背理的なもの・醜く残酷なもの・動物的なもの・あからさまな物質性について考える。シュルレアリスム批判を中心に。

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