きみのなかにペニスを入れているとき
ぼくは単純な男だった
単純な男になれてよかった
ピカピカの停車場のそばの別れのあと
いろんなことを自然に考える
エスカレーターに一人でのぼって
待合室に行き
煙草をとりだし
吸って
すわって
立ち上がって 歩き始める
木に話そう とか
弟に電話しよう とか
すぐにも引っ越ししよう とか
20年ぶりにセックスをして やっぱりセックスは大きなものだと思ったよ
あこがれたり はなれたりしないためにも セックスは必要だと思った
上に昇ることをやめて まっすぐに歩道を歩く
何が待っているだろう
とにかく これからしばらくは
きみがいなくなった部屋で ビールと
パンとベーコン
水と 紅茶と トマト
しばらくはきみがいなくなった部屋がさみしいが
ビールとパンとベーコン
水と紅茶とトマト
きみのいつも持っている体温はぼくをさみしがらせない
ということを
木に話す
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