夜の中へ入ってゆく。冬至からは少しづつ光があるだろうよ。ね。
縄の目くらい明るいのはまだまだ
火を焚き、幹線道路からはずれた家の中で
男が声をかけている。
「今晩わ。ただいま帰りました。
酒は飲んでおりませんよ。」
起点に帰ってゆく。起点の声。
「菜種のおひたしにおぼろ月でもナイ。マフラーなんかしてオカシイヨね。」
家の中で火を焚く。袖をよごして
縄を編む。
「細やかな柄。ぱあっとこういう風にひろがって。」
ヒトが終りになるとき払ったらいい。それで。
風のあつまるところ。音があつまる。あつまる。縄目の起点。
枯葉抱えて火を焚く。林に鳴る風。ソレマデハ!
夜の中へ入ってゆく。冬至からは少しづつ光があるだろうよ。ね。
あかるくなったら、いつか。
世田谷の植物とくらしている女のヒトの顔をみに
枯葉抱えて
きっと行く。
Booby Trap No. 3
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