倉田良成
雨があがると 光のつぶてで街は斑になる 上気するプラタナスの葉の影に 淡い血液を積んで自転車が走る 千年も続く毎日 鳥の声のしたたる公園を抜け 子供たちのやわらかな恐怖とすれ違いながら 一箱の煙草を買いに行く 読みさしの朝刊を部屋に置いたまま ある日 私は帰らない