ジュラ紀のアンモナイトの化石を貰 った
フランスでとれたものだとそれをくれた人は言 った
とれたなんて果物みたいだね、と僕は笑 った
化石は脱け殻ではない
イメージ
実体ではなく
創造のデザイン
石になることの
圧倒的な存在感
しかも硬質な不在
アンモナイトを見つめることは
喋り尽くした
後の
虚しさに似ている
どうしたいのか分からない
何をいいたいのか分からない
その 不在を
埋める方法が浮かばない
きっと
僕が死んでも
こいつの不在はどこまでも続く
意味なんてないくせに
勿体ぶって
寡黙になりすましている
・
無口は卑怯だ
黙っていることで語り尽くしたりする
深読みをさせ
幻想を抱かせる
・
どうせ僕はお喋りだ
でもな化石よ
無口がかっこよかった時代は
70年代までだよ
お前は今の時代には
きっともてない
・
お見合いパブなんて知らないだろう
喋らないともてないんだぜ
頑に世界を守ろうとしても
通用しない時代
不運な時に掘り起こされたものだ
・
化石の奇跡
・
本当は
喋りたいんじゃないのかい
お前を見ていると
そういう気がしてならない
ジュラ紀から今日までの
一切合切。
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