僕は日がまぶしかったので
帽子のひさしを前に折り曲げた
露出オーバーのコンクリートの道
そこを美しい人妻が曲がっていく
たしかにその曲がり角で人妻の人生は
くっきりと分かれたのだ
リゾートの白いズボンをはいて
僕は坂をおりていく
ここではみんな貴族になる
なにかしら白濁している
なにかしら
この街はおかしいのだ
なんで犬がしゃべるのか
なんでスカートをひらめかせて
人妻が角を曲がっていくのか
そしてはずかしいお喋りのなかに
ネガになった遊び人の
顔が
坂を下りていく僕にはっきりと
合図を送った
恋などなかった
ただ白濁した街を
ひさしを下げながら
ゆっくりと下っていったのだ
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